幼児期

からだの大切な場所「プライベートゾーン」を教えて自分を大切にする土台作りを(イラスト・絵本)【助産師監修】

幼児から教えたいプライベートゾーン

(2022/2/7一部改訂)

 
文部科学省による「生命(いのち)の安全教育」*でも扱われる、子どもを性被害から守る知識「プライベートゾーン」。幼児にも分かりやすく、からだや防犯の知識を伝えられるため、性教育のスタートとして最適です。さらには、お友達のプライベートゾーンを触らない、人前でプライベートゾーンをふざけて見せないなど、幼児の日常の行動も「なぜだめなのか」を理解してもらいやすくなります。
ここでは、3歳頃から小学生入学前の幼児まで、性教育の一歩でもあるプライベートゾーンについてまとめました。ぜひ、子どもと一緒に「体の大切な場所、プライベートゾーンはどこだ?」と遊びながら会話をしてみてください。
 
※子供が性暴力の加害者や被害者、傍観者にならないように、令和3年4月より段階的に進められることになりました。幼児期のお子さんには、プライベートゾーンや他人との境界線などを教える内容になっています。
(参考:文部科学省ホームページ「性犯罪・性暴力対策の強化について」

自分だけの大切なところ「プライベートゾーン」ってどこのこと?

プライベートゾーンとはアメリカで生まれた言葉で、「他人に見せても触らせてもいけない、性に関係のある、自分の体の大切な場所」と規定されています。
子供に「性犯罪」のことは伝えにくいものですが、小さな子どもを狙った性犯罪者がいることも事実。「プライベートゾーン」をしっかり教えておくことで、「どこを」触られたり見られたりする人がいたらおかしいのか、「イヤだ」といっていいことを伝えることができます。
 

プライベートゾーンは「水着を着たときに隠れる場所+口」

 
幼児期の子供に伝えるときは、「水着を着たときに隠れる場所+口」と、教えてあげるとわかりやすいでしょう。絵本や教材でプライベートゾーンについて説明するなかで、男の子の胸が隠れていないものがありますが、性別に関わらず胸はプライベートゾーン。「男の子の胸も、プライベートゾーンだよ」とラッシュガードを着ている男の子のイラストなどを見せながら補足してあげましょう。
また、「口は見えているのに、なぜプライベートゾーンなの?」と子どもから口が含まれる理由や、「お風呂のときはどうする?」と、日常的に家族と接する中でプライベートゾーンを見せたり触らせたりする場面について、質問されることもあるでしょう。ひとつひとつの例外も伝えながらも、「誰に、どこを、見られたり触られたりしてもよいのかは、自分が決めていいんだよ。プライベートゾーンだけでなく、身体について少しでもイヤな気持ちになったときは、『イヤだ』といっていいよ。」と、伝えることが大切です。
 

プライベートゾーンのイラスト解説

※ 上のイラストの下着の部分(胸・お尻・性器)と口は、男の子・女の子のプライベートゾーンです。

 

プライベートゾーンについていつから教えるか

 
プライベートゾーンは幼児期から伝えやすい体の知識ではありますが、「いつから教えるのか」具体的な時期が決まっているものではありません。
保育園や幼稚園で、教わってくるケースもあると思いますが、まずはお父さんお母さんが、プライベートゾーンについて学び、家庭で繰り返し伝えてみましょう。
お子さんが、「どうして、○○くん(異性のお友達)の水着の形は違うの?」「どうして、パパとママは違う身体をしているの?」など、興味を持ったときが、絶好のタイミング。
 
以下のポイントを参考に、プライベートゾーンについて、話をしてみてください。

 

「プライベートゾーン」をいつから教える?幼児期に伝えたい4つのポイント

では、具体的に何を教えればいいのでしょうか。教えておきたい・気づいてほしいポイントがあります。

  • ・自分の身体は大切で、自分だけのものであること
  • ・なかでもプライベートゾーンは、人に見せたり触らせたりしてはいけないこと
  • ・他の人のプライベートゾーンを見たり触ったりしてはいけないこと
  • ・プライベートゾーンに関わらず、身体のどこかを見たり触られたりしたときに少しでもイヤな気持ちになったら「イヤだ」といってよいこと

 
幼児期の子供は、お友達やきょうだい間で、性器(おちんちんやおまた)の見せあいっこや触りあいっこなどをすることがあります。単純に面白いから、安心するから、自分にはない身体の構造に興味があるから、など理由は様々です。
もし、お子さんがこのような行動を取っていたら、以下のように伝えることができます。
 

  • ・「おちんちん(おまた)は大切な場所だから、他の人に見せたり触らせたりしないようにしようね。他の人のおちんちん(おまた)も大切だよ。」
  • ・「一人だけになれる場所で、自分で見たり触ったりするのはよいけれど、他の人がいるときはやめようね」

 
「いやらしい」「汚い」などというネガティブな表現は、プライベートゾーンを「いやらしい」「汚い」ものだというメッセージになることもあるので、使わないようにしましょう。
 
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プライベートゾーンは性犯罪から「自分の身を守る」防犯の知識

上記のポイントを理解すれば、万が一、子供のプライベートゾーンを見たり触ろうとしたりする人や、自分のプライベートゾーンを見せたり触らせたりしてくる人がいた時に「おかしいな」と気づくことができます。この気づきが、結果、不審者・性犯罪者から自分の身を守ることにつながります。
 
プライベートゾーンについて話をするときには、このようなことをしてくる人に会ったら、「やめて」ときっぱり言う、すぐにその場から立ち去る、近くにいる大人に助けを求めることを、合わせて伝えましょう。
また残念ながら、プライベートゾーンを狙ってくる人はときに「知らない人」ではないこともあります。
日常的に、「家族であっても、知っている人であっても、プライベートゾーンを触られたり見られたりしてイヤな気持ちになったらイヤだと伝えてよい」ことを伝えてあげておきたいですね。お風呂で身体を洗うときに「おちんちん、洗ってもよい?」と同意をとる練習をするのもオススメです。
 

親子で防犯やプライベートゾーンを学べるおすすめの絵本

幼児の頃の子供に、プライベートゾーンを上手く教える自信がない人は、性教育を学べる「絵本」を活用することもオススメ。お子さんと読みながら、自然とプライベートゾーンについて学べる性教育絵本がいくつかあります。可愛い絵柄で子どもにも読みやすいものから、シリアスな描写をすることでリアルな防犯を身に着けられる絵本まで、さまざまなものがあるので、ぜひ命育サイト内『親子で読めるおすすめの性教育絵本』の紹介文やレビューを参考にしてみてくださいね。
下記は、命育性教育絵本コーナーで紹介している絵本です。
 

プライベートゾーンを教える絵本・防犯・性犯罪

 

編集部オススメ性犯罪から身を守る絵本・プライベートゾーン絵本

「いいタッチわるいタッチ」
いやなタッチには「ノー」と言っていい!プライベートゾーンを知り、子供が性的虐待に気づける性教育の絵本
可愛い動物たちが絵本の物語を進めてくれます。絵本を読み終えるときには、動物たちと一緒に「いいタッチ」と「わるいタッチ」が身につく絵本。
「わたしのはなし」
たったひとつの体と心を大切に!プライベートゾーンをテーマに、自分で自分の身を守る方法を学べる絵本。
やさしいイラストで、かんたんな文章で書かれている絵本ですが、体のどこを触られたらおかしいのかをわかりやすく教えてくれます。子どもの怖い気持ちも描かれていて、言葉では伝えにくい性犯罪の怖さをストレートに伝えてくれます。
「わたしのはなし」ですが、ぜひ男の子にも読んでいただきたいです。
「とにかくさけんでにげるんだ」
カナダで副読本として教材にもなっている性教育絵本です。日常の中で起こりうるさまざまなシーンをもとに、性犯罪が身近にあることを伝えてくれるので自分ごととして捉えらえる絵本。

親子で遊びながら「プライベートゾーン」を学ぶのにおすすめのぬり絵やイラスト

命育では、家庭で遊びながらプライベートゾーンを学べるぬりえや教材などを紹介しています。
詳しくは、「性の会話に役立つ教材ダウンロード」をご覧ください。

まとめ

プライベートゾーンについて理解することで、子どもは自分の身体も他人の身体も、大切なものであると知ることができます。それは自分や他人を傷つけないことにつながるとともに、将来的に、相手の気持ちを尊重しない性行為や自傷的な性行為をしないことにもつながります。
幼児期は、今後児童期、思春期と成長するなかで、健康的な関係性を築けるようになるための土台となる大切な時期であることを忘れないようにしましょう。

 


 
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例えば:
防犯やからだ・プライベートゾーンのことを学べる性教育絵本・本
 
「お悩みQ&A」|「子どもがお医者さんごっこでお友だちとお尻の穴をのぞきあっていたと園の先生から聞きました…。」
 
「お悩みQ&A」|「プライベートゾーン」「防犯」の他、性の悩みや疑問に専門家が回答

 

監修:助産師 池田 匠美

助産師なおみ先生の一言アドバイス

幼児期の子供向けに、プライベートゾーンをテーマにした絵本はたくさん出ています。話すことに抵抗のあるお父さんお母さんは、ぜひ活用してみましょう。
また、日常生活の中でプライベートゾーンについて話すには、お風呂タイムがオススメ
リラックスした雰囲気で「家族には見せてもいいけど、それ以外の人にみせちゃいけないところはどーこだ?」のように楽しくお話してみてください。お風呂は裸を自然に見せることが出来ますし、「ここは大切な部分だよ」と視覚的に教えることができますよ。
他にも、着替えのときやお薬を塗るときなどに「お着換えするから服を脱がせてもいい?」「おしりにお薬を塗るけどいいかな?」と、プライベートゾーンを見たり触ったりするときに「~してもいい?」と聞くことで、プライベートゾーンを尊重していることを伝えることができます。

池田 匠美先生

日本赤十字看護大学、助産師課程卒業。

成田赤十字病院、育良クリニックを経て、自由が丘 に「Ma+By’s みひかるサロン&助産院」を開業。

新生児から幼児までのお子さんや妊婦さん・ママに向けて、赤ちゃんとママが笑顔になれる講座を多数行っている。

助産師・看護師・保健師/日本ベビーサイン協会認定講師(生徒数全国NO.1)

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