思春期

【思春期女子の性教育】女の子の体はどのように変化・成長する?

思春期女子の性教育・体の変化・マスターベーション01

早ければ小学校高学年頃から、女の子は思春期が訪れます。身体も心も変化するこの時期、揺らいだり、イライラしたりする子供と上手に向き合っていくためにも、女の子がどのように変化していくのか、身体だけでなく「性」への興味がどのようになるのかを知ることは大切です。
ここでは、思春期女子の身体の成長・変化と、性欲(マスターベーション)についてまとめました。
 

 

思春期の女の子、体と心にどんな変化があるの?

「思春期」(小学校高学年~中学生・高校生頃)と呼ばれる第二次性徴期に入ると、脳の指令によって性腺刺激ホルモンが分泌されます。その性腺刺激ホルモンが卵巣に働きかけることで卵巣から分泌されるエストロゲンは、女の子から大人の女性の体に成長するために大切な女性ホルモンのひとつ。その働きにより下記のような変化が起こります。

思春期女の子の第二次性徴・体の発達、変化

第二次性徴による変化は、通常「乳房発育→陰毛発育→初潮(はじめての生理)」の順に起こります。

  • ・体重が増える(皮下脂肪が蓄積されやすくなる)
  • ・乳房が膨らむ、陰毛、わき毛が生える
  • ・身長がぐっと伸びる
  • ・初潮(はじめての生理)が起こる
  • ・丸みを帯びた体つきになる

    ※体重も急に増えることがありますが、自然なことですので無理なダイエットは必要ありません。

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    思春期女子の性教育・体の変化・マスターベーション02

     
    ※参考:日本産婦人科学会監修「HUMAN +女と男のディクショナリー」

Q:思春期女の子の成長・変化に合わせて、注意しておきたいことは?

A:女性ホルモンが分泌されることによって変化する一番大きな症状は、生理(月経)です。
生理は体が大人の女性になるための大切な準備を始めたということ。ごく当たり前の体の変化であって、怖いものではありません。
ただ、ちょうど思春期は異性を意識し、自分の容姿を気にしたり、友達と比べて優劣をつけたりしたい時期。そこで無理なダイエットをしてしまうと、栄養不足から骨折しやすくなったり、月経がきちんとこなくなってしまうことがあります。
骨折しやすい=骨がもろくなる、ということ。骨や筋肉の成長を妨げ、身長が伸びないなどのトラブルだけでなく、将来骨粗しょう症になるリスクも含んでいるのです。思春期の女子において、体重が増えるのは自然なこと。自分にとっての「ちょうどよさ」が大切であることを忘れないように気をつけましょう。
 
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思春期女子の性教育:何歳くらいに説明したらいい?

これまでのお子さんとの会話やお子さんの成長にもよりますが、例えば身体の成長であれば、成長がはじまる少し前あたりから説明ができることがベスト。

 

Q:子どもへの年齢に応じた性教育、家庭でどんな風にアプローチするとよい?

性の知識を、「恥ずかしいこと」、「隠すべきこと」、「汚いこと」というイメージで教え込んでしまっては、性に対して嫌悪感や恐怖感を持ってしまうことも。性の知識は恥ずかしいものではなく、「生きていく上で当たり前のこと」として、正しい知識を段階的に話してあげるといいでしょう。
ユネスコによる性教育の国際的な手引きでは、年齢に応じて教える性教育の内容を下記の通りに示しています。
いかがでしょうか?お子さんの成長や興味などに応じて、年齢に応じた性の会話の参考にしてみてください。

思春期女子の性教育・体の変化・マスターベーション03

 

  • 【5歳~8歳(幼児期~小学校低学年頃)】

  • ・男女の性別学的な違いを理解することの大切さ
  • ・受精することで、妊娠が起こる
  • ・他の人との関係性をはぐくむことを楽しむのは、人間として自然なことである
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  • 【9歳~12歳(小学校中学年~高学年頃)】

  • ・男性は射精し、女性は排卵することができ、これらによる受精が妊娠には必要である
  • ・月経が予定よりも遅れたときに行う妊娠反応検査薬で陽性となったとき、妊娠と確定する
  • ・性について興味を持つことや信頼できる大人に質問することは、自然なことである
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  • 【12歳~15歳(小学校高学年~中学生頃)】

  • ・性行為について、自ら意思決定することの大切さ
  • ・多様な避妊方法があり、それぞれ特徴が異なる* 
  • ・若すぎる妊娠が健康に及ぼす害
  • ※日本はコンドームが主流となっていますが、認可されていない他の避妊方法も多数あります。
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  • 【15歳~18歳(中学生~高校生卒業前後)】

  • ・生殖、性的機能、性的欲求の違い
  • ・不妊の可能性とその対処法について
  • ・性行為における喜びと責任
  • ・人工中絶について

 

思春期女子の性欲:子供や女子もマスターベーションしてもいいの?影響はない?

マスターベーションは必要不可欠な行為ではありませんが、広く行われている自然な行為です。男性、女性限らず、自然なことであり、決して悪いことではありません。そして、身体に害を及ぼすことはありません。
さらには性教育という面でも、性器のしくみを知ることができるよいキッカケになります。
もちろん、マスターベーションに興味がない、したことがない、という人も普通であり、人それぞれ異なります。

思春期女子の性教育・体の変化・マスターベーション04

 

Q:女子がマスターベーションする際に気をつけておきたいこと

 
A:マスターベーションには特に「正しい方法」というものはなく、何回以上やってはいけないというルールはありません。ただし、意識しておいてほしいことがいくつかあります。性に関する知識が書かれた書籍を手渡したりなどして、伝えられると良いでしょう。

  • 【マスターベーションをするときに気をつけたいこと】

  • マスターベーションは、とてもプライベートな行為であることや、清潔な状態で行うことは、知っておいてほしい知識です。
  • ・清潔、安全に行うこと
  • ・リラックスできるプライベートな空間で行うこと
  • ・通常セックスで得られないような強い刺激は与えないこと
  • 【注意したいマスターベーションの方法】

  • 以下の方法は、相手がいるセックスの際に違和感を覚えたり、感覚が鈍ったりしてしまう可能性があるので注意しましょう。性器を傷つけないために爪を短くしておくことも大切です。
  • ・シャワー水への押し付け
  • ・ソファやテーブルなどへの押し付け
  • ・不衛生な物を直接性器にあてるなどの方法
  • ・伸びた爪のまま性器を触ること

女の子にも性欲があるのはごく自然なこと。子どもを尊重し、大らかな気持ちで捉えてあげてくださいね。

 

 

監修:重見 大介

医師専門家(重見先生)の一言アドバイス

自分の体の変化と性の欲求、妊娠、出産などについて、正しい知識を得ることは、お子さまにとって非常に大切です。適切な情報を知ることで、自分自身が幸せとなり、周囲とのトラブルを避け、自分だけでなく周りの人も幸せにしてあげることに繋がるからです。
ご両親はぜひ「受け身」の姿勢ではなく、「家族だからこそできる自然な雰囲気」で優しく話してあげてくださいね。お子様にとっては、思春期に知ることすべてが、不思議で当然なことばかり。ひとつずつ段階を経てあげることが、とても重要なのです。そして思春期のうちに、ぜひ信頼できる産婦人科の先生を見つけてあげてほしいと思います。
お子さまにとって、妊娠した時や不妊症の検査で初めて産婦人科を受診するよりも、若いうちから信頼できる産婦人科医と相談できる環境があることは、女性として安心でき、豊かな人生を送る手助けになるでしょう。

重見 大介

産婦人科専門医/公衆衛生学修士、産婦人科オンライン代表

日本赤十字社医療センターで初期研修修了後、母校の日本医科大学産婦人科に5年間所属し、大学病院、市中病院の産婦人科だけでなく、新生児集中治療室(NICU)や麻酔科でも研鑽を積む。これまでに1000件以上の出産に立ち会っている。

2018年11月現在、東京大学大学院博士課程(臨床疫学・経済学)での研究活動、総合病院での臨床業務に加え、株式会社Kids Publicで「産婦人科オンライン」https://obstetrics.jp/という妊産婦を対象とした遠隔健康医療相談サービスの運営に携わり、様々な角度から女性の健康へ向けた取り組みを行なっている。

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