デートDVとは?中高生の子どもを守るために保護者・先生が知っておきたいサインと対応方法

「うちの子に限って」「まだ子どもだから恋愛のことは大袈裟に考えなくても」——そう思っていませんか。しかし実際には、交際経験のある10代の多くが、恋人からの束縛や監視、精神的な攻撃を経験しているというデータがあります。
 
本記事では、「10代のための『性と加害』を学ぶ本 暴力の『入口』『根っこ』『しくみ』を知る包括的性教育マンガ」(時事通信出版局)をもとに、中高生の交際に潜む「デートDV」のサインと、保護者・教員など周りの大人がどう関わればよいかを解説します。
 
コンテンツ協力:
10代のための「性と加害」を学ぶ本
暴力の「入口」「根っこ」「しくみ」を知る包括的性教育マンガ
 
著:櫻井裕子, 斉藤章佳, 絵:イゴカオリ
出版:時事通信出版局
 

デートDVとは?中高生にも起こりうる身近な恋人間の暴力

デートDVとは、結婚していない恋人同士の間で起こる暴力のことです。殴る・叩くといった身体的な暴力だけでなく、次のようなものも含まれます。
 

  • ・心理的な暴力(暴言、無視、行動の制限)
  • ・経済的な暴力(一方にお金を払わせ続ける、お金を貸して返さない)
  • ・性的な暴力(同意のない性的行為の強要)
  • ・社会的な暴力(友人関係を制限する、交友関係を監視する)

 
「殴られていないから大丈夫」ではなく、相手の行動や気持ちをコントロールしようとする関係性そのものが問題であるという理解が重要です。
性別に関係なく起こりうるのがデートDVです。

【マンガで見るデートDV】中高生の交際に潜む、我慢と支配のサイン

ケース1:お金の負担が一方に偏っていない?

あるマンガ教材では、交際を始めたばかりの男子生徒が、デートのたびに会計を負担する場面が描かれています。「男が払うべきだよね」という彼女の一言に違和感を覚えながらも言い出せず、割り勘を提案すると不満げな反応をされてしまいます。

性別や役割を理由にした一方的な金銭負担は、対等な関係とは言えません。
子どもが「奢るのが当然」「奢られるのが当然」という価値観を無意識に内面化していないか家庭や授業の中で振り返る機会を作ることが大切です。

ケース2:交友関係の制限とスマホの監視

別の場面では、女子生徒が交友関係のある異性に嫉妬し、「他の女子と話さないで」と要求したり、彼氏のスマホやLINEの内容を確認しようとしたりする様子が描かれます。既読・未読への過剰な反応や、頻繁な連絡の催促も見られます。

さらにエスカレートすると、「傷ついた」「今すぐ来て」といった言葉で罪悪感を刺激し、深夜の呼び出しに応じさせるという場面も描かれます。これは典型的な感情を利用したコントロールのパターンです

デートDV被害にあっていない?保護者・先生が気づくべきチェックポイント

以下のような様子が見られたら、注意深く見守る必要があります。

 

  • ・交際相手からの連絡に過剰に神経質になっている
  • ・友人関係が急に狭くなった、特定の人と会わなくなった
  • ・スマホを頻繁にチェックする様子、または頻繁にチェックされている様子がある
  • ・「彼氏(彼女)に怒られるから」という理由で行動を制限している
  • ・金銭的なやり取りに無理が生じている

 

これらは一つだけでは判断がつきにくいものですが、複数のサインが重なる場合や、本人が疲弊している様子がある場合は、声をかけるタイミングです。

家庭や学校でできる対応・声かけのポイント

  1. 否定せず、まず聞く:「別れなさい」と結論を急ぐと、子どもは相談をやめてしまいます。まずは状況を丁寧に聞く姿勢が大切です。
  2. 「対等な関係とは何か」を一緒に考える:お金、連絡の頻度、交友関係について、二人で納得できているかを問いかけてみましょう。
  3. 会話の機会をつくる:デートDVについて授業や家庭内で触れておくことで、実際に直面したときに「これはおかしいかもしれない」と気づく力がつきます。
  4. 相談窓口を伝えておく:スクールカウンセラー、都道府県のDV相談窓口、DV相談ナビ(#8008)など、子ども自身が使える相談先を事前に共有しておくと安心です。

関連記事:性暴力・デートDVの相談窓口「トラブルナビ」
https://meiiku.com/trouble/#trouble03

デートDVの実態データ

  • ・内閣府が2024年3月に公表した最新の全国調査によると、交際経験がある人のうちの18.0%(女性の22.7%、男性の12.0%)が、交際相手から身体的暴行・心理的攻撃・経済的圧迫・性的強要のいずれかの被害を受けたことが「ある」と回答しています。
  • ・被害を受けた男性の60.0%、女性の55.7% は「どこにも相談していない」と回答しており、周囲の大人が気づき、声をかけることの重要性がうかがえます。
  • ・特定非営利活動法人デート DV 防止全国ネットワーク が2025年に中高生を対象にした調査では、被害経験については、全体の40.6%(女性45.8%、男性35.1%)があると回答しました。さらに加害経験については、全体の26.6%(女性27.1%、男性26.1%)があると回答しています。

これらの数字は、デートDVが特別な誰かにだけ起こることではなく、身近に起こりうる問題であることを示しています。

まとめ:「気づく力」を育てることが最初の一歩

中高生の交際は、大人から見ると些細に見えることもありますが、本人にとっては人間関係やアイデンティティを形作る重要な経験です。
 
だからこそ、保護者や先生が「これは対等な関係かどうか?」という視点を持って関わることで、子ども自身が違和感に気づき、声を上げられるようになります。
特別なことをする必要はありません。日頃から対等な関係について話す機会を持つこと、そして困ったときに頼れる相談先を伝えておくことが、何よりの予防になります。
 
コンテンツ協力:「10代のための『性と加害』を学ぶ本 暴力の『入口』『根っこ』『しくみ』を知る包括的性教育マンガ」(著:櫻井裕子, 斉藤章佳, イゴカオリ、出版:時事通信出版局)
 
参考:内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査」(令和6年3月)
特定非営利活動法人デート DV 防止全国ネットワーク 「調査報告書 2025 デート DV と予防教育の実態と意識 ~教員・中高生調査」

 

保護者の方へ:10代に知っておいてほしい「デートDV」のこと

お子さんと、はじめての性やデートDVのこと、会話できていますか?「直接話をするのがなかなか難しい…。」そんなときは、下記の記事をお子さんに読ませてあげてくださいネ。
中高生向けに「易しく・分かりやすく」伝えているので、子どもが自分で読んで、知ることができます。
 
関連記事:【中高生向け】「好きだから仕方ない」って、本当?

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