<夏に伝えたい>プライベートゾーンとは?家庭・園・学校での教え方とおすすめ絵本・教材

プライベートゾーン説明イラストや伝え方

QA監修:助産師 土屋 麻由美、助産師 やまがたてるえ、行徳総合病院 婦人科内視鏡室長/産婦人科医・坂本 愛子

 
「プライベートゾーン、教えなきゃと思っているけど、どう切り出せばいいかわからない」——そんな保護者や先生の声はとても多く聞かれます。
この記事では、命育が厚生労働省の調査研究事業に採択され制作した手引きや、文部科学省の「生命(いのち)の安全教育」をもとに、幼児〜小学生への伝え方を具体的にまとめました。
プライベートゾーンを教えることは、防犯の観点からも、子どもを怖がらせるように感じるかもしれません。しかし、プライベートゾーンを知ることは「自分や相手の体を大切にする力」や「バウンダリー(境界線)の感覚を育てる」ポジティブなこと。
以下を参考に、水遊びのシーズン前や日常の着替えやお風呂タイムなどで、肩の力を抜いて伝えてみてください。
 
参考:厚生労働省「令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」乳幼児期の性に関する情報提供(調査主体:「命育®」編集部)
 

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プライベートゾーンとは?なぜ子どもに教えたほうがいいの?

プライベートゾーンの定義(胸・おしり・性器・口)

プライベートゾーン(またはプライベートパーツ)とは、「自分の体の大切なところで、必要な場合をのぞいて誰かが同意なく見たり触ったりしてはいけないところ」とされています。具体的には、「水着や下着で隠れるところ(胸・おしり・性器)と口」を指します。
ただし、プライベートゾーン「以外」が大切でないわけではありません。ユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では「誰もが、自らのからだに誰が、どこに、どのように触れることができるのかを決める権利をもっている」とされており、プライベートゾーンについて伝える前に「自分の体は自分だけの大切なもの」という土台を伝えることが大切です。
 
参考:『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】――科学的根拠に基づいたアプローチ』(明石書店)

「水着で隠れるところ」+「口」と覚えるのが基本

プライベートゾーン説明イラスト

小さな子どもへは「水着(または下着)で隠れる場所(胸・おしり・性器)と口」と伝えるとイメージがしやすいです。
ここで「男の子の胸はどうなるの?」という疑問が出てくるかもしれません。男の子の胸もプライベートゾーンですが、女の子の胸と違い、場面によって見せることもあります。だからこそ「見せる/見せないは自分で決めていい」という自己決定の感覚を一緒に伝えてあげましょう。
イラストを使うときは、男の子がラッシュガードを着ている絵や「下着で隠れる場所」という言い換えも活用できます。(上記のイラストもご活用ください)

プールや薄着が増える「夏前」は、プライベートゾーンを伝えるおすすめの時期

夏前がおすすめの理由は、「水着で隠れるところ」というキーワードが子どもの日常と直結しているからです。水泳指導を開始する時期や着替えのタイミングは、自分と相手の体を大切にする対処方法を身につけさせる好機とされています。「プール楽しみだね。水着で隠れるところはプライベートゾーンって知ってる?」という一言から、自然に話を始められます。

 

【家庭編】親から子どもへの伝え方とポイント

大前提のルール:「自分の体は 自分だけの大切なもの」

プライベートゾーンの話をする前に、まずこの土台を伝えましょう。
 
「あなたの体はあなただけの大切なものだよ。どこに、誰が、どのように触ることができるか——それを決める権利はあなたにあるんだよ。」
 
「あなたの体、あなたの気持ちはあなただけのもの」「誰が、いつ、どこで、どのように触れてよいか、決める権利はあなたにある」ということを子どもに伝えると共に、保護者や周りの大人自身も理解することが大切です。

プライベートゾーンの約束(みせない・さわらせない・みない・さわらない)

プライベートゾーンには「自分を守る」と「相手を守る」の両方があります。子どもと一緒に確認したい約束がこちらです。
 

・自分のプライベートゾーンは みせない・さわらせない
・相手のプライベートゾーンは みない・さわらない

 
「うっかり加害」を防ぐためにも、自分が守られるだけでなく「相手のプライベートゾーンも大切にする」という視点をセットで伝えることが大切です。
日常のなかで自然に伝える方法(お風呂・着替えのタイミング)
特別な「プライベートゾーンを教える時間」は必要ありません。毎日の場面に伝えるチャンスがあります。

オムツ替え・着替えのとき

「今からオムツを替えるよ」「着替えるから服を脱がせるよ」と一言声をかけてから行う。このような声かけは、言葉を理解し始める2〜3歳頃から始められます。

入浴・スキンシップのとき

子どもが「やめて」「触らないで」と言ったらすぐに止める。無理なハグやくすぐりも、子どもの意思を尊重することが性的同意の根幹です。「イヤ」が受け止められる体験の積み重ねが、子どもの「NOを言う力」を育てます。

プール・水着のとき

「水着で隠れているところがプライベートゾーンだよ」と自然な流れで伝える絶好のチャンスです。

万が一のための「NO・GO・TELL」

 
プライベートゾーンの教え方として、もしもの行動セット「NO・GO・TELL」も一緒に伝えておきましょう。
 

NO(イヤと言う):「やめて」と声に出す。言えなくても、あなたは悪くない
GO(逃げる):その場を離れていい。逃げることは正しい行動
TELL(話す):親・先生など信頼できる大人に話す。秘密にしなくていい

 
「もし誰かにプライベートゾーンを触られてイヤだと思ったら、『イヤだ』と言って逃げて、信頼できる大人に話してね。言えなくても、あなたは悪くないよ。」
 
「イヤだ」というのはとても難しいことです。たとえ「イヤだ」と言えなくても、子どもは悪くないこと、拒否できないことが「いいよ」という同意したことにはならない、ということもあわせて伝えてあげましょう。
※NO,GO,TELLはNPO法人CAPセンターJAPANによるプログラムです。
 

【園・学校編】先生が指導する際のアプローチと配慮

保育園・幼稚園での伝え方(着替えのルールや友達との距離感)

令和5年4月から、全国の園・小学校・中学校・高校等において文部科学省の「生命(いのち)の安全教育」の学びが始まりました。幼児期の教材では、「みずぎでかくれるところはじぶんだけのだいじなところ」としてプライベートゾーンを伝え、他人のプライベートゾーンに触れてはいけないという内容も盛り込まれています。
着替えの前にクラス全体で「見ない・見せない」を声に出して確認するだけで、子どもに「着替えのときのルール」として自然に定着させることができます。

園・小学校での性教育・防犯指導目安(保健体育や学活での授業)

文部科学省は内閣府と連携し、子どもたちを性犯罪・性暴力の「被害者にしないこと」「加害者にしないこと」「傍観者にしないこと」を目標に推進しています。
学年別の内容目安はこちらです。
 

小学校低・中学年:「水着で隠れる部分」は自分だけの大切なところ ・相手の大切なところを、見たり、触ったりしない ・いやな触られ方をした場合の対応 等
小学校高学年:低・中学年の内容に加えて、 ・SNSを使うときに気を付けること(高学年) 等

周囲の大人が共通認識を持つ「加害・被害・傍観を防ぐ環境づくり」

園や学校と家庭が同じメッセージを届けることが何より重要です。プライベートゾーンを扱ったあとは「今日こんなことを学びました」と、保護者に共有し、家庭での会話につなげましょう。子どもが友達のプライベートゾーンに触るなどの悪ふざけをしていたら日頃から積極的に注意することで、「うっかり加害者」になることを防げます。
また、全体でプライベートゾーンを学ぶことで、誰かがプライベートゾーンを侵害する行為をしたときに、周囲も「それはおかしい行為だ」ということに気づき、止められる環境をつくることができます。

 

親子・クラスで学べる!おすすめの絵本・教材5選

【幼児〜小学校低学年向け】プライベートゾーンを分かりやすく伝える定番絵本

『だいじ だいじ どーこだ?』(大泉書店) 著:遠見才希子(産婦人科医)/絵:川原瑞丸
50万部突破のベストセラー。やさしくて可愛いイラストで、家庭だけでなく幼稚園・保育園などでの読み聞かせにもオススメ。幼児から使えるプライベートゾーン教育の定番の1冊です。
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『おしえて!くもくん プライベートゾーンってなあに?』(東山書房) 著:小笠原和美
日本初のプライベートゾーン教育に特化した絵本。パワーポイント版・ワークシート・保護者配布資料・ポスターなどダウンロード資料が充実しており、生命の安全教育の授業にそのまま活用できます。
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【幼児〜小学生向け】小児科医監修プライベートゾーンを日常で学べる教材・グッズ

以下は、小児科医監修の楽しく遊び楽しみながら、日常の中でプライベートゾーンの話ができる教材です(監修者:小児科医 保育士 工藤紀子)
 
「ひつじのパンツカード」(命育)
 

ひつじのパンツカード
ぬりえや着せ替え遊び、ババ抜きや絵合わせなど誰でもわかるシンプルな遊びを楽しみながらプライベートゾーンを学べるオリジナルカードゲームです。
2歳から大人まで、繰り返し遊べるため、園や家庭でのプライベートゾーン教育の第一歩におすすめ。
 
詳しい内容をみる:「ひつじのパンツカード」詳しくはこちら

 
「お風呂ポスター」(命育)

性教育お風呂ポスター
クイズ感覚で、遊びながら子どもが自分の「からだ」や「プライベートゾーン」を知ることができるお風呂ポスター。防水加工のポスターなので、お風呂だけでなく、トイレなどにも貼って遊べます。
 
詳しい内容をみる:「プライベートゾーン」「からだ」お風呂ポスター

 
プライベートゾーンを学べるワークブック(命育)

YOURNORMAL
クイズ・ミニゲーム・工作を通じて「からだ」「プライベートゾーン」「ジェンダー」を考えるA4・26Pのフルカラーワークブック。家庭で取り組んだり、さまざまな年齢の子どもに関わる方におすすめです。
 
詳しい内容をみる:「YOUR NORMAL」ワークブック+ワークシート

 
命育のプライベートゾーン教材は、Amazonでも詳細をご覧いただけます。
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無料で使える!ダウンロード可能なワークシート

「生命(いのち)の安全教育」教材 (文部科学省)
幼児期〜大学・一般まで6種類が用意されており、文部科学省のサイトから誰でも無料でダウンロードできます。指導の手引きも同時公開されています。
 
詳しい内容をみる(外部サイトへ)
 
「プライベートゾーンぬりえ 」 (命育)

プライベートゾーンぬりえ

 
家庭や園・学校でそのまま活用できる無料のワークシート(PDF)です。
簡単なぬりえを通じてプライベートゾーンの場所を視覚的・体験的に伝えられます。
 
詳しい内容をみる無料プライベートゾーンぬりえ

プライベートゾーンについてのQ&A

Q. 子どもがうんち、おしっこ、ちんちん、おまたなどを連呼する。どうすればいい?

A. 子どもは、性的な言葉を使うと、人がどう反応するかを楽しむ年齢があります。
そんな時、周りの人が照れたり、「そんなこと言わないの!」などと反応すると、余計にヒートアップして、連呼したりします。
冷静に、「うんちやおしっこが出ないとお腹が痛くなって大変だもんね」「ちんちんやおまたは、たいせつなところね」「うんちやおしっこが好きなのね。大切なものだから、うれしくなっちゃうのね」「おちんちんやおまたがどうしたの?おちんちんについてどんなことを聞きたいのかな?」…淡々と話すと、つまらなくなって、だんだんクールダウンしてきます。
からだや排せつ物に関心を持つことはおかしなことではありません。
落ち着いてきたら、「人の前でうんちとかおしっことかって、言ったらいけない言葉じゃないよ。でも、ふざけて言うことでもないね。」と伝えておかれると良いのではないでしょうか。
子どもには、繰り返し繰り返し話すことは必要です。
回答:助産師・土屋 麻由美(関連記事はこちら)
 

Q. 小学生の息子が友達のズボンをふざけておろした、と学校から連絡があり知りました。何をどのように伝えたらいい?

A.「さらにしつこく教育するチャンス」と捉えて何度でも言い続けること
プライベートゾーンを説明していても性的いたずらをしてしまった我が子に絶望的な気持ちになりますよね。でも「子どもは説明した時は理解したようなリアクションをするけど、何度も言わないと本当には理解していない」もの。この経験を「さらにしつこく教育するチャンス」と捉えて、再度言い聞かせるしかないですね。
とにかく日常的に言い続けることが大切です。たとえば息子たちが女の子の胸やお尻を強調したアニメを見ていたら「日本の社会って女の子を性的な商品として扱っていて変だよね。女の子だってプライベートゾーンを見られていいわけないじゃんね」とわざと大声で独り言を言ったりしています。
回答:行徳総合病院 婦人科内視鏡室長/産婦人科医・坂本 愛子(関連記事はこちら)
 

Q. 今は親が体を洗ってあげていますが、何歳ごろから自分で洗ったり、一人でお風呂に入ったりするのがいい?

A.「何歳から」というルールはありませんが、銭湯など施設の年齢を目安にしてみて
概ね7歳の頃から一人で入る、あるいは一人で入るのはまだ難しくても自分で洗えるようになっておく、というのが、一つの基準になります。これは、銭湯など外の施設での異性のお風呂には入れなくなる年齢制限にあわせると、ということになります。洗い残しも気になるかと思いますが、毎日練習を行うことで、少しずつできるようになります。
回答:助産師・やまがた てるえ(関連記事はこちら)
 

まとめ:プライベートゾーンの知識で子どもを守ろう

プライベートゾーンを伝えることは「怖いことを教える」ためではなく、「自分の体は大切」ということを伝えること。
夏のプール、水遊びは絶好のきっかけ「水着で隠れるところがプライベートゾーンだよ」の一言から始めてみてください
日常の声かけで十分特別な時間を設けなくても、着替えやお風呂の場面で繰り返し伝えることが大切です
家庭と学校でメッセージを揃える同じ言葉で届けることで、子どもの理解がぐっと深まります
今年の夏、ぜひ話してみてくださいね。

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