【専門家監修】性的同意って何？同意のとり方は？チェックリストや動画で学ぼう

「性的同意（せいてきどうい）」という言葉、知っていますか？

前述のとおり、セックス（性行為）だけでなく、手をつなぐ・腕を組むなど体に触れたり、キスをしたりするときには必ず「同意（合意）」が必要だということを知っていますか？
ここでの同意は、「なんとなく」「暗黙の了解で」ではなく、「お互いが積極的に望んでいるか」を、行為の度に確認するということ。
 
内閣府が令和2年に行った「男女間における暴力に関する調査」によると、「無理やり性交された経験があると回答」した人は「約24人に１人（4.1%)、そのうち女性は約14人に１人（6.9%）」という結果でした。
「無理やり性交」というと、突然見ず知らずの相手から暴行されたり脅されたりして性交されたことを想像するかもしれませんが、この調査においては「暴行や脅迫を用いられたものに限らない」としています。
（性交の定義には肛門性交や口腔性交も含まれています。）
また無理やり性交された経験がある人のうち、相手との関係性は、「まったく知らない人」と回答したのは約10%程度にとどまっていました。
女性では、「交際相手・元交際相手」と答えた人が30%以上、男性では、「通っていた（いる）学校・大学の関係者」と答えた人が約20%と、多い結果に。
さらに、「配偶者」と回答した人は男性約6％、女性約17％であり、パートナー間でも無理やり性交されたと感じている人が少なくないことがわかります。
この調査結果からもわかるように、多くの人が顔見知り以上の人から無理やり性交されているのです。
また、これがキスや体に触れることも含む「性的な行為」となると、より多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。
 
「嫌だと思っているけれど性行為に応じてしまう」「恋人・夫婦だから、本当は嫌でも性行為するのは仕方がない」
そんな風に考えていることはありませんか？
この記事では、性的同意とは何かについて解説します。
 
・子どもに「性的同意」の必要性を伝えられているか
・（自分や子どもは）パートナーの同意をきちんととれているか
・（自分や子どもは）無理をして性行為をしていないか
 
これを機会に考えてみましょう。
※参考:「令和2年度　男女間における暴力に関する調査」／内閣府
 

「性的同意」って聞いたことはあるけど、何をすること？性行為への同意をとる４つのポイント

性的同意とは、性行為の際にお互い積極的に性行為を望んでいるか確認をとることです。英語ではSexual Consent（セクシャルコンセント）といいます。ここでいう性行為には、セックスだけに限らず、手をつなぐことや身体に触れること、キスすることも含まれます。
 
性的同意が必要な理由は、無意識に相手を傷つけないため。性的同意をきちんととらないと自分はパートナーが嫌がっていないと思っていたのに、実はパートナーは嫌だと思っていたなんてこともあり得ます。
では、具体的に性的同意はどのようにとればいいのでしょうか？

性的同意をとるときの４つのポイント

性行為に対して、自分や相手の気持ちを考えるときに気をつけたい４つのポイントを紹介します。
 
・その相手との性行為を望んでいるか
・性行為をしたい時であるか
・性行為をしたい場所であるか
・避妊や性感染症予防についてお互い納得ができている方法がとれているか
 
これらの4つのポイントについて、対等な関係で、積極的な同意が行われることが重要です。
例えば会社の上司や部下など力関係が明確である場合、部下から上司にはっきりと「嫌だ」と意思表示をするのは難しいことも。誘う側の立場の場合は、「Ｎｏと言っても、今後あなたが不利益になることはないよ」ということを、一言添えるとスマートですね。
性的同意において平等な関係であり、NOを示しても不利益がない関係であることはポイントです。
 
※参考：「ウィングス京都　ジェンダーハンドブック」（平成30年）／京都市男女共同参画センター
 

「性的同意チェックリスト」あなたやあの人は、性的同意をとれている？チェック

あなたやパートナーは、性的同意がきちんととれていますか？この機会にチェックしてみましょう。
例えば、前述の「ウィングス京都　ジェンダーハンドブック」では下記のチェックリストが使われています。

「性的同意」チェックリスト

❝・二人きりでデートに行くことは、性行為を前提としている
・キスをしたら、性行為をしてもいい
・相手がイヤと言っていても、「イヤよ、イヤよ、も好きのうち」なので、性行為をしてもいい
・相手がイヤと言っていなかったら、性行為もOKのサインである
・酔った勢いで、性行為に及ぶのはしかたがない
・互いに成人していれば、性行為の際に同意を求める必要はない
・家に泊まるのは、性行為をしてもいいというサインだ
・付き合っていれば、性行為をするのは当たり前だ
・同じ相手に、毎回、性行為の同意を得る必要はない
・ナイトクラブに来る人は出会いや性的交遊を求めて来る人が多いので、性行為に際して同意を取る必要はない❞
 
1つでもあてはまる場合は性的同意がとれていないおそれがあります。注目したいポイントは以下の5つです。

性的同意チェックリスト・注意したいポイント

・カップルや夫婦である＝いつでも性的同意がとれているわけではない
・男性が性行為をしたくないと思うことがあるのも当然
・「イヤよイヤよ」は「嫌」
・男女が二人きり＝性行為OKでもない
・拒否されない＝同意がとれているわけでもない
 
なんとなくのイメージではなく、相手はどう思っているのかをきちんと確認するといいですね。
 

性的同意を具体的なケースを例に学べる動画「紅茶の動画」（日本語翻訳版）

イギリス警察が作成したセックスを紅茶に例えた動画を見たことがありますか？
 

（こちらの動画および後述の「Consent for Kids」日本語翻訳版は、函館性暴力防止対策協議会が作成）
 
動画では以下のようなことが示されています。
 
・もし紅茶を淹れても飲むか飲まないかは相手の自由であり、無理やり飲ませてはいけない
・「紅茶は必要ない」と言われたら淹れてはいけない
・「必要ない」と言われたことに対して怒ったり、無視やり飲ませたりしてはいけない
・意識のない人に無理やり紅茶を飲ませてはいけない」
・先週飲みたがっていたから今週も飲みたがっているわけではない　など
 
「紅茶」を「セックス」に置き換えると、同意のないセックスがどのようなものか想像できるのではないでしょうか。
こちらの動画は、子ども向けにも制作されているので、ご参考ください。
 

性交同意年齢が「13歳」から「16歳未満」に引き上げられました！

「性交同意年齢（性的同意年齢）」とは、この年齢以上であれば、性行為をするか否かを自ら判断できるとみなされる年齢です。日本では、刑法で「13歳」と定められていましたが、性犯罪の規定に関する法改定により令和５年７月１日から「16歳未満」に引き上げられました。
これにより、16歳未満の子どもに対して、性交等やわいせつな行為をすると「不同意性交等罪」や「不同意わいせつ罪」が成立するとされています。
また相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為をした人が5歳以上年長のときに処罰の対象となります。
 
参考：「性犯罪関係の法改正等　Ｑ＆Ａ」（法務省）

保護者の方へ：思春期男女に伝えたい「性的同意」のこと

お子さんと、はじめての性や性的同意のこと、会話できていますか？「直接話をするのがなかなか難しい…。」そんなときは、下記の記事をお子さんに読ませてあげてくださいネ。
中高生向けに「易しく・分かりやすく」伝えているので、子どもが自分で読んで、知ることができます。
 
会員限定記事：【中高生向け】知ってる？相手の気持ちを確認する大切な「性的同意（せいてきどうい）」

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