思春期

わが子には無縁だと思うと大間違い?!〜身近で怖い病気・性感染症

主な「性感染症」の種類、症状とは?

性感染症は、性行為によって性器から感染すると思われがちですが、実はオーラルセックスにより、口やのどの粘膜などから感染することも。感染したという自覚症状がないものも多く、症状が進行し、知らぬ間にパートナーにうつしてしまう可能性もあります。子どもに感染症が身近であることや感染症の怖さ、そして予防方法をきちんと教えることは、重要な性教育のひとつです。

代表的な性感染症には次のような病気と症状があります。

 

病名 男性の症状 女性の症状
クラミジア 排尿時痛・尿道のかゆみなど おりものの増加・下腹部痛など無症状の場合も多い
淋菌 激しい排尿時痛・膿尿・尿道のかゆみなど おりものの増加・下腹部痛など無症状の場合も多い
梅毒 性器にしこり・リンパ節の腫れ・皮膚に発疹
HIV 感染初期は発熱・頭痛など風邪のような症状 治療せずに放置すると、数年~10年ほどの無症状期を経てエイズ(後天性免疫不全症候群の略)発症
性器ヘルペス 水疱・痛み・リンパ節の腫れなど
尖圭コンジローマ 性器周囲にニワトリのとさか状のイボ

 

性感染症のなかでも、近年梅毒患者が急増していて、感染数は2010年からの6年間でなんと7倍以上に。(※1)その中でも妊娠が可能な20代の若い女性に増えています。クラミジアに感染した人も多く、ピークは男女ともに20歳~24歳と、いずれも若い世代に多いのが特徴です。
クラミジアに感染すると、卵管炎を引き起こし卵管がつまってしまうことで、卵子や受精卵が通りにくくなり不妊の原因になります。不妊は男性の精巣に異常があることが原因の場合もありますが、不妊原因で一番多いのが女性の卵管に異常があるケース。そのうちのなんと半分はクラミジア感染が原因だとか!卵管は一度つまってしまうと、生涯完治することはありません。つまり性感染症は予防・検査・治療を続けながら、生活習慣病のように向き合っていくしかないのです。もちろん若いうちはまだセックスしない、という選択肢もあります。子どもだけでなく、周りの保護者も感染予防への心がけを、きちんとしておきたいですね。

※1)参照:性感染症報告数/厚生労働省

性感染症について説明するなら何歳くらいから、どんな風にアプローチするとよい?

学校で性感染症について学ぶのは中学3年生になってから。でも、実際に話を聞くだけではイマイチ実感が湧かない子も…。
そんなときは、参加型のゲーム「性感染症広がるゲーム」がおすすめです

 

<ルール解説>

  1. まず、クラスの生徒全員が水の入ったコップを持ち、そのうち先生のコップだけに水酸化ナトリウムを入れます。
    ※水酸化ナトリウムは無色透明なので、見た目にはただの水と変わらないのがポイントです。
  2. 次に2人1組で、コップの水を交換します。別の人とも5回繰り返します。
  3. 最後に、全員のコップへ検査試薬(フェノールフタレイン)を入れます。

その結果は…??

教室にいる生徒がもつすべてのコップのうち、約8割以上の水が検査液に反応。一斉に色が変わります。
つまりこの実験では、先生のコップにしかなかった水酸化ナトリウムを菌に例え、先生と接触していない生徒のところにも、ほかの生徒を介して菌はカンタンに届くこと、結果的に教室全体にもあっという間に広がる可能性がある、という事実を証明しています。
さらに言うなれば「コップにラップをかぶせていたら、水の交換は出来なかった=コンドームをしていたら、菌はうつらなかった」という証明にも。

このゲームを通して、性感染症は自分のパートナーだけをみていても予防にはならないことを子どもたちは学びます。逆に考えると、また、避妊なしでのセックスのリスクや怖さを、楽しく知ってもらえるきっかけになりますよ。
ご家庭で、いくつかのコップを並べてやってみるのもいいですね

「性感染症」にならないために注意すべきことは?

性感染症は、生活習慣病と同じで、日々の心がけが大切になります。
最低限、必ずコンドームは使うこと。ただし、クラミジアはコンドームで防げても、コンジローマやヘルペス、梅毒など、コンドームを使っても感染を防げない菌もあります。だからこそ具体的な症状がなくても、定期的に検査を受けることが大切。「検査を受けるまで性感染症にかかっているかどうかわからない」という、認識を持つことが必要なんですね。

検査項目は限られますが、全国の保健所では無料で、しかも匿名で検査を受けることができます。もしも検査で性感染症が見つかった場合は、慌てずすみやかに病院で医師の診察を受けること。もちろん、「自分を大切にしてくれるパートナーを見つけるまで、セックスをしない」という選択肢も性感染症を防ぐ手段のひとつですよ。

性感染症になった時の対処法とは?

セックスの後、性器周辺に異常が現れた場合は、婦人科または、泌尿器科へ受診しましょう。ただし、性感染症にかかった場合、どちらか一方だけが治療しても意味がありません。治療していない相手から再び、感染してしまうことがあるからです。通称「ピンポン感染」と呼びます。性感染症の根を断つには、パートナーと一緒に治療することがとても大切ですね。

 

※豆知識※

最近、一般的な抗生物質が効かない淋病がイギリスで発見され話題になっています。抗生物質が効かなければ将来的に蔓延してしまう恐れも。感染を広げないためにもパートナーを限定すること、不特定多数の相手とセックスしないこと、コンドームを使うこと、などが大事ですね。

関連記事:学校では教えてくれない?!〜さまざまな避妊方法とその利点・副作用

 

イラスト:IGA DESIGN

高橋先生の一言アドバイス

パートナーチェンジをする際、「リセット検査」を推奨しています。つまりセックスをする前に、ふたりとも検査にいくことです。(ひとりで受診してもいいですし、ふたり揃って行っても構いません。)保健所では無料で検査ができますし、病院では血液検査、尿検査、膣内のおりもの検査など、いろんな方法で調べてくれます。ただし、男性の尿検査の場合、菌は尿道にいるので、検査前に尿で流されてしまうことも。排尿で洗い流された後だと検査が陰性になることもあるので、いずれにしても彼にも処方をしてもらうようにしましょう。女性の場合は、子宮がん検診などと同時に検査してもらうのもおすすめですね。性感染症は特に若い世代に増えています。お子さんの体と将来のために親御さんもしっかり注意してあげてくださいね。
もうひとつ、思春期の子どもたちに伝えてあげてほしいのは、「情報源の大切さ」。引用元が怪しい情報などではなく、お医者さんや学校など、裏付けのとれた正しい情報源からきちんと学ぶことがとても大切です。

高橋 幸子

埼玉医科大学 医療人育成支援センター ・地域医学推進センター/産婦人科

山形大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療センター研修医、埼玉医科大学病院産婦人科助教、埼玉医科大学地域医学医療センター助教を経て、現職。年間80回以上、全国の小学校・中学校・高等学校にて性教育の講演を行っている。教育雑誌、TVなど、性教育テーマでのメディア掲載・出演実績多数。

活動:

日本家族計画協会クリニック非常勤医師
彩の国思春期研究会西部支部会長

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