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本日のテーマ
#2「育児方法をめぐる、祖父母とのトラブル」
本日のお客様

鈴木 B子さん(仮名)・30代
3歳の息子がおり、現在第二子待ち

相談内容
息子が生まれたばかりの頃、実の母と新生児のお世話のことで価値観が合わず、大きな喧嘩になってしまいました。 母は、 私が一人っ子だったり、結婚してからもなかなか子どもができなかったりということもあって、息子が生まれた時は大喜びしてくれました。 里帰り出産ではなかったので手伝いに来てもらうことになったのですが、母はすごく張り切っていました。私も実の母親だし思い切り頼るつもりでいましたが、それがまさか、あんな喧嘩になってしまうとは‥(苦笑)

シオリーヌさん、こんにちは。ちょっと聞いてください!

 

母は滞在中ずっと、約30年前の育児法を私に押し付けてきたんです。 赤ちゃんが泣き、抱っこしてあやしていると「抱き癖がつくから抱っこはダメ!」 と言い、私から赤ちゃんを取り上げてしまったり 「母乳よりミルクの方が、栄養があるのよ!」と、母乳が出ていたのにもかかわらず、ミルクに替えられてしまったり…。

 

それとなく、今はそのやり方はやらなくなったんだよ、と伝えても 「私はこれであなたを育てたのだから間違いない!」と聞く耳もたず。

 

結局、母の滞在中は、寝かしつけもオムツ替えも、ほとんど母がやりました。私もイライラが溜まっていたので、きつく言い返してしまい、大喧嘩に。母が初孫を喜ぶ気持ちもよく分かっているつもりですが、やはり一方的に押し付けられることには、納得できません。

こんにちは!ご相談ありがとうございます。

 

祖父母世代との価値観のすれ違い、子育てを始めたばかりのご両親にとって大切なテーマですね。

 

医療や子育てといった領域は、かつては「これが正解」と信じられていたものが、時間の経過とともに覆ることも少なくありません。さらには、産後の心身ともに余裕のない状態も合わさってケンカになってしまう。無理ないと思います。初めてのお孫さんということで愛情を注ぎたいお気持ちがあることは分かりながらも、なかなか受け入れられないお気持ちなのですね。

 

一つ有効な方法として、自治体などで主催されている「祖父母学級」に参加してみてはいかがでしょうか。

これは母親学級や両親学級の祖父母バージョンで、時代を経て変化してきた育児方法を学び、祖父母という立場から子育てをサポートする方法をシェア出来るような場です。

この教室に出てもらってから祖父母へ産後のサポートを依頼した方からは「時代によって子育て方法が異なることを前提に話をしてくれたので、その都度話し合いながら手伝いをしてくれて助かった」というお声を聞くこともあります。自治体だけでなく育児用品店などが運営しているクラスもあるそうですよ。

 

また、育児雑誌や育児書を一緒に読んでみるというのも、一つの方法。「お母さんの時はどうだった?」などの会話をしながら、今と昔でどんな点が異なるのか共有してみることで、お母様自身にも変化を実感していただけるかもしれません。

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そうなんです。母に悪気がないことも分かっているし、実家を長期間空けて遠方から手伝いに来てくれたことも、すごく感謝しています。でもやっぱり、母親は私なのに‥という気持ちを抑えることは難しかったですね…。

 

祖父母学級というものがあるのですね!育児書もそうですが、母との間に第三者やツールに入ってもらえたら、母も聞き入れやすいかも。

何でも言いやすい間柄だから、かえってエスカレートしてしまった所もあったので、ワンクッション置く意味でもいいですね!

第三者の専門家の意見を間に挟むことで、相互理解の手助けとなることもありますので、ぜひ祖父母学級などの機会を活かしてみてください。

 

また、ご自身のお気持ちを素直にお話しいただくというのも、とても大切です。

少し心と時間の余裕のある時に、お母様のお気持ちに感謝の思いもあるけれど育児の方法を押しつけられてしまうように感じて戸惑っていること、ご自身も初めての育児を自分で考え、行動していきたい思いがあることをお伝えしてみてはいかがでしょうか。

そういった対話を重ねることで価値観をすり寄せることができるかもしれません。

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実はただいま第二子待ちなので、次に手伝いに来てもらう機会ができたときには、色々試してみます!きっと以前より肩の力を抜いてお世話できると思うし、母にもあの時の気持ちを打ち明けられそうな気がします。

 

ちなみに、今でも母からは「保育園なんてかわいそう!」「2歳までに英語を勉強させたいから教材を送るわね」とメールがきます。その度にまたか‥とウンザリしながらも、適当に合わせてやり過ごしています。

またしこりが残らないようにするには、どのように伝えれば良いのでしょうか?

これは私の個人的な意見になりますが、メールはお互いの顔も見えず誤解の生まれやすいコミュニケーションですので、一旦「助言をくれてありがとう。今度会った時に直接相談させてほしい」とお伝えし、時間や心に余裕のある時に直接対話の機会をもっていただくとよいのかなと思います。

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たしかにメールだと、楽な面も多い反面溝が埋まらない感じもあります。相手の心の余裕も考えて伝えることも大切ですもんね。

それから、現在、第二子を考えておられるとのことでしたが、もし努力をしてもお母様のサポートを受けるのが難しい場合には、行政や民間のサポートを上手に利用するという方法もあります。

 

例えば、自治体によっては助産院への産後入院を補助していたり、産後の家事育児のサポートにヘルパーを利用可能としていたりする地域もあります。デパートの育児用品店に隣接された育児相談コーナーなどに助産師が常駐している場合もあり、育児に関して直接相談したい場合にはそういったサービスを利用することもできますよ。

 

私がこれまでお会いした産後のママの中にも「実母との折り合いが悪く、サポートは頼みたくない」という方もおられました。

家族であっても、全てにおいて分かり合うというのは難しい部分もあります。そんな時無理して関わることが余計に心身のつらさを増すのであれば無理に関わろうとせず、配偶者の方も育休を取得したり、社会にあるサービスを有効活用したりする、というのも一つの選択肢かと思います。

 

子育ては、社会全体で行うものですからね。

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民間のサポートもそんなにたくさん種類があるのですね!どうしても無理という時は頼ってみます。

「頼らなくても良い」という考え方を知れて、何だかとてもスッキリしました!シオリーヌさん、ありがとうございました!

子育てという時代とともに大きく変化する価値観を巡って、身近な家族と衝突が起きてしまうことはとても辛いものです。

 

時にはともに学び語り合い、折り合いをつけられるよう努力するもよし、どうしてもしんどい時には少し距離をとって民間のサービスを使うもよし。親御さんとお子さんにとって、過ごしやすい環境を大切にしていただけたらと思います。

 

ご相談ありがとうございました。また何かあればいつでもお話にいらしてくださいね。

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