児童期
「うちの子は大丈夫」で大丈夫?子どもと考える性犯罪・性暴力

小学生になると、放課後に友達の家や習い事、公園に行くときなどのひとり行動が増えます。保護者の目が行き届かない分、性犯罪に巻き込まれないか心配になることもありますよね。
一方で、子ども同士の関わりも増え、軽い気持ちで他人のプライベートゾーンを勝手に見たり触ったりして、加害をしてしまう可能性もあります。
ここでは、「うちの子は大丈夫」ではなく、子どもが被害者にも加害者にもなり得る可能性を前提に、子どもに知ってほしい性犯罪の対策になる知識・伝え方をご紹介します。
更新日:2025/10/23
回答者:大阪大学大学院人間科学研究科 准教授、公認心理師・臨床心理士・野坂 祐子
回答者:大船榎本クリニック精神保健福祉部長/精神保健福祉士、社会福祉士・斉藤 章佳
お店や公園のトイレ、何歳からひとりで行かせていい?
お子さんが小さいうちは、家の外のトイレを使うとき、必ず一緒について行ったという保護者は多いでしょう。しかし、小学生になると「ひとりで行っておいで」と、つい子どもだけで行かせるケースもあるかと思います。
しかし、子どもを狙う性加害者の治療に取り組む精神保健福祉士の斉藤章佳氏によると、加害者は「人目につかないところを選んで子どもに加害行為をする」といいます。斉藤氏の著書『「小児性愛」というい病ーそれは愛ではない』には、子どもを守る防犯について下記のように書かれています。
” 人がたくさんいても保護者と一緒にいても、子どもがひとりになって誰にも見られないタイミングを徹底的というのを、彼らは徹底的に探します。「目的を達成しやすいかどうか」という加害者目線で空間を見直すことが、防犯になります。”
そうした点で、「トイレは犯罪の現場になりやすいことが分かっている」ため、「ひとりで行っておいで」は、本来望ましくないといえるでしょう。
とはいえ、下の子を見ていて一緒にいけないことや、子どもだけで行動しているときなど、大人がついていけないことも。
そんなときのために、例えば下記のような対策が可能です。
- ・できる限り、ひとりでトイレに行かない
- 周りに大人がいないときは、必ず友達と一緒にいったり、他の親子がいるときを選んでいったりする。
- ・犯罪をしづらい環境のトイレを選ぶ
- 公園の広場にある一人用トイレなど、人目が多く、死角になりづらいトイレ、他の人が出入りできないトイレを利用する。
個室がたくさん並ぶトイレを利用するときは、なるべく人の出入りが多く、キレイなトイレ(清掃の人が頻繁に訪れている)を利用すること。
よく行く場所であれば、事前に親子でチェックしておく。 - ・入口の外から呼びかけてもらう
- 家族や友達が異性で一緒にトイレにはいれないときは、入口の外から声をかけてもらい、誰かが気にかけているということを犯罪者にわかるようにする。
- ・日頃から防犯ブザーを持ち歩く
- ランドセル以外にも、放課後に使うバッグなどにも防犯ブザーを携帯しておく。
- ・できる限り、トイレに行かずに済むように対策しておく
- 外出する前に自宅や学校、友達の家などでトイレに行っておく。

娘が公園で知らない男にいやらしいことを言われたと訴えてきました。どうケアをすればよいのでしょうか?
https://meiiku.com/qa/late_childhood_14/
(回答者:大阪大学大学院人間科学研究科 准教授、公認心理師・臨床心理士・野坂 祐子)
「知らない人」「怖いおじさん」には気をつけてでは、不十分
子どもに防犯意識を持ってもらうために、「知らない人にはついていかない」「あやしい人には気をつけて」と声をかけている人も多いと思いますが、それだけでは十分とはいえません。
なぜなら、子どもに犯罪を犯そうとする人は、パッと見て怪しい人とは限らないから。
顔見知りの大人やお世話になっている人など、顔見知りによる犯罪も多くあります。一見優しそうな人や、一緒に遊んでくれた人(子どもにとっては「知っている人」になる)でも、人気のない場所へ連れて行こうとしたり、プライベートゾーンを侵害してくるようなときは、すぐにその場から逃げることを伝えましょう。
また、女の子に限らず男の子も性被害にあう可能性があることを、保護者もあらためて認識し「女の子なんだから気をつけて」ではなく、女の子にも男の子にも同じように伝える必要があります。
「あやしい人には気をつけて」だけでは、子どもはどう気をつけていいか分からないので、具体的に伝えることも大切です。
防犯について具体的な伝え方(例)
「怖い人や知らない人には気をつけて、と言われたことはあるかな?
実は、悪いことをしてくる人のなかには、やさしそうな人、何度か遊んでくれた人、よく知っている人もいるんだよ」
「公園やお店のトイレ、〇〇〇(普段よく行動する範囲内の危険な場所を具体的に)あたりには、なるべく一人では行かず、友だちと一緒に行くんだよ」
子どもと通学路を歩いて、人気の少ない場所やいざというときに助けを求められる場所を見ておくといいでしょう。
日頃から、遊びに出る前には「知らない人にはついていかないように」と言って送り出していますが、弟とお友達何人かが、知らない中年男性と鬼ごっこをしていました。
息子&友達に聞くと「遊んでくれた」と。日頃の約束が伝わっていないと思うと、ガックリしてしまいました。警戒しすぎなのでしょうか。
https://meiiku.com/qa/late_childhood_30/
(回答者:大船榎本クリニック精神保健福祉部長/精神保健福祉士、社会福祉士・斉藤 章佳)

性被害者にも性加害者にもなり得るからこそ伝えたい「プライベートゾーン」
「プライベートゾーン」の基本知識
昨今、園や学校、あるいは家庭で「プライベートゾーン」または「プライベートパーツ」について教わる機会も増えてきたため、聞いたことがある子もいるでしょう。改めて、お子さんとプライベートゾーンについて会話しましょう。
プライベートゾーンとは、「必要な場合をのぞいて誰かが自分の同意なく見たり触ったりしてはいけない、体の大切なところ」です。具体的には、「水着で隠れる部分(胸、おしり、性器)と口」を指します。
以下のようなポイントを伝えましょう。
・「自分の体は自分だけの大切なもの」「自分の体のどこに、誰が、どのように触れられるか、自分で決められる」
・誰かに体を見られたり、触られたりして「イヤだ」「気持ちが悪い」と感じたとき、「イヤだ」と言って逃げてよいこと、信頼できる大人に話をしてほしいこと
・もし「イヤだ」と言えなかったとしても、「あなたは悪くない、悪いのは加害者である」こと
いざというとき、「イヤだ」というのはとても難しいもの。怖くて声が出せないときもあるので、いざというときに防犯ブザーを使えるように、日頃から練習しておくといいでしょう。
「プライベートゾーン」について具体的な伝え方
「プライベートゾーンという言葉、知ってる?下着(水着)で隠れているところ、胸、おしり、性器と口のことをプライベートゾーンというよ。」
「プライベートゾーンだけでなく、からだのすべてが大切。
誰かが、あなたのからだを見たり触ったりしてきたり、その人のプライベートゾーンを見せてきたり、触らせようとしてきたりしたら、『イヤだ!やめて!』といって、すぐに逃げて。」
「周りにいる大人や近くのお店の人に助けを求めるんだよ。防犯ブザーのひもを引っ張って、鳴らしてもいいよ」
誰かに意図せず加害をしてしまわないための「具体的な答え方」

小学生の間で、プライベートゾーンのトラブルが起こることもあります。
学校や放課後に、いきなり友達のズボンを下ろしてみる「ズボン下ろし」や、スカートめくり、あるいは自分のお尻などプライベートゾーンを人前で見せる、といった行為を耳にしたことはあるでしょう。
もし、お子さんがこうした行為をした場合、「男の子はそういうもの」「子ども同士のふざけあい」と軽く流さず、「他人のプライベートゾーンを侵害する加害行為であり、許されることではない」と重く受け止め、子どもにもそれを伝えましょう。
そうした意図せぬ加害を防ぐために、日頃からプライベートゾーンを伝えるときに、自分の体だけでなく、他人の体も大切だということや、相手に何かをするときには同意をとることを伝えることが必要です。以下のポイントを参考にしてください。
- ・何を「イヤだ」と感じたり、好きだと思ったりするかは、人によって異なるということ
- ・相手が何をイヤだと感じるかを知るためには、「聞くこと」(同意を取る)が大切
- ・「~してもよい?」「いいよ」ではじめて、相手にそれをする
- ・「イヤだ」と言われたら、すぐにそれをやめること
- ・自分のことがイヤなのではなく、「その行為がイヤだということ」
小学生の息子が、女の子のズボンをふざけておろした、と学校から連絡があり知りました。
普段からプライベートゾーンのことは何度も話をしているのに、ショックです。
https://meiiku.com/qa/late_childhood_33/
(行徳総合病院 婦人科内視鏡室長/産婦人科医・坂本 愛子)
いかがでしたか?子どもが性被害にあわないよう、性加害をしてしまわないよう、伝えておきたい知識と具体的な伝え方を紹介しました。
「うちの子は大丈夫」と思わずに、日頃から性犯罪のニュースをみたとき、子ども同士のトラブルがあったとき、いろんな場面でプライベートゾーンや同意の話をする機会をつくりましょう。
マンガ:ぷにらー(@non_bilion)
※ 命育Instagram(@meiiku_com)で配信している『「うちの子は大丈夫」?』は、小学生の男の子と家族が、性被害・性加害について考えるマンガです。










