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アートを通じて考えるジェンダー・性の多様性 vol.1

【質問】この絵をみて、どんなことを感じますか?
例えば、この親子は何をしているところなのかな?また、どんな生活をしているのだろう?
その他、色んなことを想像してみて、感じたことを自由に書いてみてください。



世界中の美術館にある素晴らしいアートを通じて、ジェンダーの歴史とこれからの在り方について考えてみましょう。皆さんのアタマとハートをストレッチして、リラックスして考えてみてくださいね。
コメントに書き込んだら、他の人の意見もチェックしてみてください。
アートの鑑賞は、どの捉え方にも正解・不正解はありませんので、色んな作品をみて、色んな想像を膨らませてくださいね。

解説をよむ

みなさん、色んな考えたこと・想像したことを投稿いただき、ありがとうございます。


さて、ここからは、こちらの作品をLGBTの観点からみた解説をお話させていただきます。
この作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館にある「シャンパルティエ夫人とその子供たち」。フランスの「印象派」の画家、ピエール=オーギュスト・ルノワールの作品です。


この絵に描かれているのはフランス屈指の出版事業者だったジョルジュ・シャルパンティエの夫人とその子どもたち。この絵から当時のフランスの富裕層の生活ぶりが伺えますね。部屋の中には、日本の浮世絵や屏風、陶器などが配置され、当時フランスで流行していた東洋趣味が伺えます。社交界の華だった夫人のふくよかな体を包む黒のオートクチュールには、彼女の洗練されたセンスが光り、その優しい眼差しの先には、お揃いの服を着た愛らしい「娘たち」の姿が。いえ、ちょこんと椅子に座った真ん中の子どもの名前はポール、女の子ではなく、実は男の子なのです。
当時の医療水準の低さもあり、男児の死亡率が高かったヨーロッパの上流階級では、男児には女の子の格好をさせて育てるならわしがありました。女装には跡取りとなる男の子を狙う悪魔から身を守る、なんと魔除けの役割があったのだそう。
親が子供の健康を願う気持ちはいつの時代も変わらないものですが、それにしても女装に魔除けの意味があったなんて、ちょっと驚きではありませんか?


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作品名:シャルパンティエ夫人とその子供たち
作家名:ピエール=オーギュスト・ルノワール
製作:フランス、1878年 - 1879年
所蔵:メトロポリタン美術館(ニューヨーク、アメリカ)
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【もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を合わせて読んでください。
【アートを通じて考えるLGBT 】vol.1 ルノワールの描く親子に秘められた「思い」とは

HRS HAPPYMAN

在ニューヨーク20年。サウスブロンクス在住。ニューヨーク市認定ガイド。
アート作品からLGBTを考える「もうひとつのメトロポリタン美術館」ツアーを主催。
ニューヨーク市立大学大学院にてMFA(アート修士号)を取得。日本での専攻は初等教育学。

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