痴漢被害にはどんなものがある？「電車の中」や「直接触られる」だけではない痴漢の実態
通学や塾・習い事通いなど、子どもが一人で行動したり電車に乗ったりする機会が増えると、親として心配になることの一つが、「痴漢」や「不審者との接触」ではないでしょうか。
今回は、痴漢被害をアプリで知らせることができる『痴漢レーダー』(https://chikanradar.qccca.com/)を開発・運営している株式会社キュカさんに、データから読みとける痴漢の現状について教えていただきました。
痴漢の被害者からよく聞く声、「されていることが、痴漢被害行為なのか分からなかった」の原因は？痴漢の定義の落とし穴
痴漢被害者の方たちの話を聞くと、よく聞く意見があります。それは、「されていることが痴漢行為と言っていいのかわからず、結局声をあげられなかった」「あれは痴漢だと言ってよかったのだと、後になってから認識できた」というもの。
「痴漢」という言葉を聞いてまず連想されるのは、満員電車での痴漢行為ないでしょうか（実際は、電車内以外にも、路上や映画館、バスの中など、被害場所はさまざまです）。ただ、具体的にどんな行為が「痴漢」だと定義されるのかについては、実は曖昧な部分があります。
もし痴漢被害にあったとき、子どもが「これって、痴漢なのかな？（でも、違うかも）」と、何もできない、誰にも言わないままでいるとしたら…。まずは、「痴漢って、具体的にはどういうものがあるのか」を、以下を参考に親子で確認してみてください。
痴漢の「定義」は？どういう罪になるの？
警察庁のサイトによると、痴漢の定義について「チカン(痴漢)とは、人に対して性的な言動や卑わいな行為などの性的嫌がらせをすること」であり、「その行為によっては、刑法の強制わいせつ罪や東京都をはじめとする各都道府県の迷惑防止条例違反などの犯罪になる行為のこと」と書かれています。
痴漢となる具体的な行為には、以下の４つが例として挙げられています。これらは「強制わいせつ罪」や「迷惑防止条例違反」に該当する行為です。
（参考：「痴漢は犯罪！」警視庁HPより）
- ・衣服や下着の上、あるいは身体に直接触れて、手で下半身や尻、胸、ふともも等を撫で回す。
- ・背後から密着して、身体や股間を執拗(しつよう)に押しつける。
- ・衣服のボタンやブラジャーのホックなどをはずす。
- ・エスカレーターや階段などの場所で、スカート内をカメラやビデオで盗撮しようとする。
また、以下のような行為も犯罪にあたります。
- ・スカートなどの衣服を切り裂く行為(器物損壊罪)
- ・衣服に精液等を付着させる行為(器物損壊罪)
- ・公衆の面前で陰部等を露出する行為(公然わいせつ罪)
- ・つきまとい、のぞき行為(軽犯罪法違反)
それでは、どんな行為が「痴漢」として認識されているのかについて、痴漢レーダーに集まったリアルな声をみてみましょう。
痴漢レーダーに寄せられた被害の声から見える、人によって異なる「痴漢行為」。その手口は
痴漢レーダーに寄せられる被害は、 「つきまとい」「ぶつかり（叩く、 蹴るなど）」「不快行為」「痴漢」「盗撮」「露出」の６つを選択可能。それぞれの内訳は以下の通り。
（2019年8月～９9月痴漢レーダーへ寄せられた被害種類。N=790）
- 「痴漢」（50%）
- 「 不快 行為」（15%）
- 「 ぶつかり（叩く、 蹴るなど）」（12%）
- 「つきまとい」（9%）
- 「盗撮」（9%）
- 「露出」（9%）
と、約半分を「痴漢」が占めています。
「つきまとい」「ぶつかり（叩く、 蹴るなど）」「盗撮」「露出」といった項目 は比較的イメージがしやすいかと思います。一方で、 報告 件数として多い「痴漢」と「不快行為」は「これである」という定義が曖昧なため、 個人差が出てくる部分が大きいと思います。だからこそ、被害を受けたとき「これって痴漢なのかな 」と戸惑う人が多いのでしょう。
最近だと、以下に挙げているようなAirdrop機能を利用して卑猥な画像送信をする”Airdrop痴漢”や、髪の毛の匂いを嗅ぐといった”触らない痴漢”も話題になっています。
では、「痴漢」と「不快行為」において、具体的にどのような被害詳細があげられたのでしょうか。「不快行為」の中に、「痴漢」と言えるものが含まれていることがわかると思います。
（最近被害が増加しているAirDrop痴漢も犯罪行為）
＜痴漢の事例＞直接胸やお尻を触られるだけではない、さまざまな痴漢行為
- ・胸やお尻を触られた
- ・満員電車で背後から股間をお尻に押し付けてきた
- ・カバンで隠しながら太ももをなで続けてきた
- ・電車内は空いているのに、真横に座ってピッタリ体をくっつけてきた
- ・ホームですれ違いざまにお尻を掴んできた
- ・洋服に精液をかけられた
- ・手の甲を太ももに押し付けられた
- ・傘でお尻を叩かれた
- ・拳をさりげなく何度も腰に当ててきた
- ・人混みをかき分けるふりをしてお尻を触ってきた
＜不快行為の事例＞体を密着させる、AirDrop被害・・・痴漢、犯罪行為といえる内容がズラリ
- ・髪を掴まれた
- ・AirDropで卑猥な画像を複数回転送された
- ・つり革を掴んでいる手を上から握りしめてきた
- ・すれ違いざまに暴言を吐かれた
- ・後ろから頭に鼻を突っ込まれて頭の匂いを嗅がれた
- ・映画を鑑賞中に隣に座っていた男性が肘を当ててきて、胸も触られそうになった
- ・バスの中で体を密着させ、首に息を吹きかけられた
- ・援助交際はどうかと声をかけられた
- ・電話で座っていると頭上から髪に触れるくらい近づき凝視された
- ・電車で座っている時に、むやみに腕をくっつけてくる
被害を認識するためには、まず上記でご紹介したような痴漢の定義を確認するとともに、「どういった行為が痴漢なのか」という具体的な内容を知ることが不可欠です。
ぜひ、今回ご紹介した痴漢被害者の声を、親子で確認してみてください。
また、警視庁のサイトには都内で発生した性犯罪に関する「こんな時間、場所がねらわれる」をまとめた情報が載っていますので、チェックしてみてください。
また、「もし痴漢被害にあったときには、親や先生に話をしてね」ということを、合わせて話をしてくださいね。
（参考：「こんな時間、場所がねらわれる」警視庁HPより）
記事協力：痴漢レーダー開発・運営（株式会社キュカ）
痴漢の被害にあった多くの方は通報せずに泣き寝入りしているという現状があります。「痴漢レーダー」（現：「Readar-z」）は、匿名で被害に遭った方見かけた方が簡単に共有することができます。周辺地域別に被害傾向やタイムラインで状況を確認もできますし、アプリでは気になる地域を設定して、リアルタイムに通知を受け取ることもできます。痴漢レーダーはビッグデータを活用して、電鉄やセキュリティ会社などへ改善のために働きかけを行なっていきたいと思っています。それ以外にも、偽電話がかかってくる撃退機能や、今後は多くの利用者で困っている人を助けられるような、周辺のユーザーへの通知機能なども予定しております。
痴漢のない世の中を目指して！痴漢レーダーをあなたの手のひらに
