幼児期

【国際基準の性教育】幼児期の子どもに妊娠と生殖(「赤ちゃんはどこからくるの?」)について何を教えたらいいですか?

子どもからの質問

 
幼児期の子どもの自然な好奇心は、会話のきっかけとなり信頼関係を築く絶好のチャンス。オープンに話をしてくれる協力的な保護者ほど、良い情報源はありません。
 
※こちらの記事は、毎年世界で約120万人に性教育のプログラムを提供しているアメリカのPPFA(全米家族計画連盟)による記事を、許可を得て、命育にて翻訳・日本向けに医療監修のうえ作成しています。保護者が子どもに性のことを伝える難しさや抵抗感は、世界共通。
国際基準の性教育ですが、保護者や子どもの気持ちに寄り添いつつも「伝えておきたい知識をシンプルに・科学的に」伝えるコツを紹介しています。ぜひご参考ください。
 

 

どのようなことに気をつけたらいいですか?

 
シンプルで具体的なものにしましょう。幼児期の子どもには、答えは基本的なものにしておきましょう。精子、卵子、ペニスと腟(ちつ)のセックスなどの詳細については、あまり強調しなくてもいいでしょう。この年齢では会話はそこまで進みません。それに興味がないかもしれないし、幼児期のような歳では、あまり理解していないかもしれません。
子どもたちの疑問から会話を導き、進めましょう。子どもが何を理解できるかを誰よりもよく知っているのはあなたです。退屈していたり、圧倒されていたりしたときにも気づくはずです。
妊娠・生殖の話は、まずはたくさん話すことからはじまり、学ぶのに早すぎることはありません。保護者の中には、子どもが妊娠や生殖について学ぶにはまだ幼すぎるのでは、と子どもの質問に答えるのをためらう人もいます。しかし、子どもが質問をしている、という事実そのものが、この情報を必要としていること。このような会話を避けても、子どもの好奇心は消えません。代わりに、情報やサポートを得たいとき、あなたに頼ることができないと、子どもたちは受けとることになります。
 
子どもの成長に合わせて小さな会話をたくさん積み重ねることは、子どもが情報をより理解する助けになり、子どもとの関係をさらに強いものにし、10代や大人になったときに、健康的な判断をする助けになります。ですから、完璧に答えないと…、と心配する必要はありません。子どもたちに向けての最も重要なメッセージは、『それを知りたいと思うのは、全く問題ないことだよ』ということ、そして『質問や悩みがあれば、いつでも安心して相談にのるよ』、ということ。また、成長するにつれて、より多くの(より詳細な)話をする機会が増えることを忘れないでください。
 
何を言うか前もって考えておきましょう。心の準備をしておくことで、自信がつき、不安を減らすことができます。自分がどこからやって来たのか、人はどうやって赤ちゃんを作るのか尋ねはじめたら、あなたは、何と答えるか考えてみてください。同じ立場に立つことができるように、パートナーとも相談しましょう。他の保護者や家族にアドバイスを求めることもできます。
もう1つの準備方法は、体や赤ちゃんがどうやって生まれるのかに関する年齢に合った本を手に入れることです。説明する方法がわからない場合は、子どもと一緒に読むことができます。また、まだ子どもが質問をしてきていない場合は、会話を始めるのに役立ちます。『コウノトリがはこんだんじゃないよ!』(ロビー・ハリス著)がおすすめです。
※参考:命育「親子で読めるおすすめ性教育絵本」でも前述の本を紹介しています。
 
家族がつくられるにはさまざまな方法があることを念頭に置き、子どもにどのように説明するかを考えましょう。赤ちゃんをつくるためにセックスをする人もいれば、養子を取る人もいれば、体外受精などをする人もいます。親になる方法は一つではないということを、幼児期の子どもに知ってもらうのは良いことです。子どもは、自分たちとは違う家族に出会う可能性があります(とくに学校に行きはじめると)。そのことについて話す準備をしておくことをオススメします。

 

「赤ちゃんは、どこからくるの?」にどうやって答えたらいいですか?

赤ちゃんってどこからくるの?

 
幼い子どもが自分がどこから来たのか、気にするのはよくあることです。ほとんどの場合、子どもから質問をすることで会話が始まります。妊娠している人を見たり、飼い犬の子犬がきっかけかもしれません。とくに理由なく聞いてきているかもしれません。子どもからの質問には、できるだけ素直に答えましょう。
話題を避けたり、ウソをついたり(「コウノトリが運んできたのよ」など)、「それを知るには早すぎる」と言ったりすることは、好奇心が旺盛なことは悪いことだということや、今後、何か質問があっても、あなたは信用できないというメッセージを子どもに送りかねません。
幼い子どもは、「赤ちゃんはどこから来るの?」と聞くことがあります。覚えておいて欲しいのは、この年齢の子どもたちにはシンプルであることがより良いということです。
 
「赤ちゃんはお母さんのお腹の中で育って、その後お母さんの腟から出てくるんだよ」
 
という基本的な答えで十分かもしれません。赤ちゃんがどうやってお腹の中で育つのかについてさらに質問があれば、
 
「ほとんどの女性は、お腹の特別な部分に小さな卵(卵子)を持っていて、ほとんどの男性は非常に小さな種(精子)を持っているんだよ。種と卵が出あって一つになれば(受精卵)、それが赤ちゃんに成長するんだよ。他に何か質問はある?」
 
と言うこともできます。この年齢の子どもはたいてい、簡単な説明で満足するでしょう。
 
また、指差しで「それは何?」など、性器や乳首、乳房についての質問をすることもあります。もし可能であれば、本来の身体呼び方で、身体のパーツを説明するとよいでしょう。(ペニス、精巣、乳房、膣などのように)これにより、肘や足の指と同じように、身体の各部位を認識するため、身体について話したり、治療を受けたり、どう扱うかについて話したりすることに恥ずかしさや恐さを感じなくなります。
幼い子どもたちが、新しいことに驚き、それについてたくさん話したがるのは普通のことです。子どもが安心してこれらの話題について話すことができるようになることは重要ですが、会話の中で、周囲の人との境界線を尊重することを教えるのも良いことです。
 
「これらの話題は、一部の大人にとってはとてもプライベートなものに感じるかもしれないよ。私は、質問があれば喜んで答えるけど、もし誰かがそのことについて話したくないと言ったら、そのことについて話すのはやめようね。」
 
と教えることができます。保護者や祖父母、その他の家族など、人生の中で安全で信頼できる大人を見つける手助けができます。

 

子どもをつくるかどうかの選択について、どうやって話したらいいですか?

 
あなたのお子さんが、子どもをつくるかどうかを決定するまでには、長い道のりがありますが、だからといって、あなたがその話題について話すことができないわけではありません。
子どもをつくるかどうか、いつ産むかを考え、選ぶことができるということを、理解してもらうと良いでしょう。赤ちゃんを授かっている人もいれば、そうでない人もいるそしてはそれは、それぞれ個人によって異なります
また、ある人にとって正しいことが、別の人にとって常に正しいとは限りません。自分が親になろうと決心した理由や経緯をお子さんと話すこともできますし、子どものいない生活をしている他の人々についても話すこともできます。
このような会話は、こういうライフプランが望ましいよと薦めるのではなく、幸せになる方法がたくさんあるよ、と示すものです。

 

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©Planned parenthood Federation of America(PPFA) /監修 高橋 幸子、翻訳 小杉 真澄(命育編集部)

 
※こちらのコンテンツ(文章、動画など)は、Planned parenthood Federation of Americaの許可を得て翻訳・監修のうえ作成しています。無断転載は固く禁じます。内容の紹介はこちらのページをシェアいただくようお願いいたします。
 

Planned Parenthood Federation of America(全米家族計画連盟/PPFA)

 

アメリカで1916年創立された女性の性・生殖に関する医療サービスを提供する非営利組織。全米に600以上の施設をもち、医療者による安全な人工妊娠中絶手術、避妊薬の処方、性病治療といった医療を手ごろな価格で提供している。学術調査や性教育にも力をいれており、学校や地域コミュニティ、オンラインなどにより毎年120万人の人々に性教育プログラムを実施。 International Planned Parenthood Federation(国際家族計画連盟)に加盟。

PPFA HP(https://www.plannedparenthood.org/)

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