児童期 思春期

コロナ禍で子どもたちの人間関係にはどのような影響があった?オンラインならではのトラブルも明らかに

 
新型コロナウイルスの陽性者が増加するなか、政府は全国の小中学校に休校要請を出し、3月から臨時休校されました。
 
突然決まったことですので、「仕事は休めるだろうか」「子どもだけで留守番させられる年齢ではないしどうしよう」など多くの保護者の方が慌てたのではないかと思います。子どもたちにとっても学校でもオンライン化が進んだり、外で気軽に遊べなかったり、友達になかなか会えなかったりいろいろな変化がありました。
 
現在では、マスクをして気を付けながらも学校生活を送っている地域が多いでしょう。しかし、また感染が拡大すれば再び一斉休校になる可能性*もあります。そんなときに過去の記録があれば活用できるかもしれないですよね。一斉休校や学校再開後にあった子どもたちへの人間関係の影響についてみていきましょう。
 
※本記事制作時(2020年12月1日)時点では、政府は「春先のような全国一斉休業を要請することは考えていない」としています。
 

 

突然の休校 子どもたちの様子は?

 
3月の休校のときは突然決まったので大慌てでさまざまな対応をされた保護者の方が多いのではないでしょうか。ご自身の仕事から子どもの生活・勉強・人間関係までいろいろな心配もあったと思います。
 
一方、子どもたちにとっては突然休暇ができたようなもので、喜んでいる子も少なくなかったと聞きました。ところが一週間ほどすると徐々に家でやることもなくなり「友達に会いたい」「学校に行きたい」という声も聞こえてきたようです。主に、小学生低学年の子は外で遊べないストレスを感じ、高学年から中学生は友人に会えない寂しさを感じていました
 
また、休校になった時期はちょうどクラス替えの時期とも重なりました。平時でもクラス替えは子どもたちにとって一大イベントです。ところが、休校と重なったため、友達に会えないままクラス替えになってしまい、寂しさを感じていた子どもたちは多かったようです。
 
学年が低い子ほど新型コロナが何なのか、どう気を付ければいいのか、なぜソーシャルディスタンスが必要なのか理解してもらうのは難しいですよね。そのため、学校の先生も対応に悩んでいたようです。
 

休校が子どもたちの人間関係に与えた影響

 

コロナ禍子どもへの影響は

 
休校中は学校でもオンラインでの対応をしていたところもありました。中高生はスマホで連絡を取り合っていた子も多かったと思います。コロナ禍でのオンライン化の進行は子どもたちにどのような影響があったのでしょうか。
 
全体的にはデメリットの方が多かったようです。例えばオンラインで何かを実施するとき低学年の子を中心に参加できる子とできない子がいて、溝ができた部分がありました。保護者のインターネット環境が違ったためです。
 
また人間関係でもデメリットがありました。中高生は自分のスマホで友達と連絡を取り合う子が多いと思いますが、LINEやSNSでのトラブルが起きたとき、学校で直接会って説明したり謝ったりができないため、こじれてしまうケースもあったようです。
 
一方で、不登校の子がオンラインホームルームに参加できるといったメリットもありました。オンラインのみですとコミュニケーションの誤解を招きやすいといったデメリットがあったものの、対面のみですと参加できない子が参加しやすいといったメリットもあるため今後も良い部分は活用されるといいですね。
 

子どもからも「コロナよりも人の目が怖い」という声も

 
休校中も文部科学省は「屋外で適度な運動をしたり散歩をしたりすること
等について妨げるものではない」と通知を出していました。ところが「自粛警察」という言葉も生まれたように公園で遊んだり、マスクをせずに歩いていたところ知らない人に怒鳴られたりと怖い思いをしたという声も聞こえてきます。
 
最近はマスクをしながら子どもたちが公園で遊んでいる姿も日常となっており、感染対策をしながらも以前のような生活を送っている人が多いのではないでしょうか。ところが都会と地方では温度差があるようです。お盆の時期にも「帰ってこないで」と言われた家庭も少なくないようです。
 
また企業で新型コロナの陽性者が出た場合、プレスを出すケースもありますが、そこに勤めている親が周囲の目を気にするということもあります。子どもからも「コロナそのものよりも、コロナにかかったときの周囲の目が怖い」という声も聞こえてきます。
 

ライティング:雪代 すみれ

監修:くま ゆうこ

専門家(くまさん)の一言アドバイス:

小学校低学年の子は新型コロナがどういうものなのか理解していない子も少なくありません。どういう感染症なのか・なぜマスクをつけなくてはいけないのか・頑張ったからといって感染しないわけではないなど、正しく丁寧に説明してあげる必要があります。帰省についても「帰ってこないで」と言われても、子どもからしたら「私はコロナにかかってないよ、どうして?」となります。説明してあげることで子どもが受け入れられるようになります。
 
また、子どもたちの間では「コロナごっこ」のような遊びがあったと聞きます。東日本大震災の後には子どもたちが津波ごっこをしていたという話もありましたね。子どもたちのストレスの放出として必要な部分もあるので見守りましょう。ただし、医療従事者や陽性者への差別については、はっきりとだめなことだと教えましょう。「新型コロナは気を付けていたとしても誰でも感染する可能性があって、かかった人が悪いわけではないんだよ。だからかかった人を責めてはいけないんだよ」と話してあげるといいですね。
 
コロナをきっかけに子ども同士の人間関係のトラブルが生じることもあり、保護者としては心配ですよね。小学校低学年くらいまでですと比較的自分から親に話せる傾向にありますが、中学生くらいになると思春期ですしなかなか話してもらえません。中学生の保護者の方からは「子どもの気持ちがよくわからない」という声が聞こえてきますが、特別なことではないんです。不思議なことに、同じ日に同じ学年で違う地域の保護者から同じ相談を受けることがあります。それくらいみなさん同じようなことで悩まれています。そのため、保護者が自分自身を責める必要もないですし、コミュニケーションをあまり取りたがらないお子さんを責める必要もないんです。

株式会社マモル隈さん

くま ゆうこ(隈 有子)

株式会社マモル代表

大学を卒業後、大手音響機器メーカー、携帯ゲーム会社にてモバイルコンテンツ企画、プロモーションなどに従事。 ITベンチャー企業執行役員を経て、 2013年事業開発ディレクターとして独立。サービスを通し多くの中高生や保護者と接点を持つ中で、以前から問題意識のあった 「いじめ」を少しでもなくしたいという思いから株式会社マモルを設立。 自身の強みであるWebマーケティングのノウハウを活かす。 株式会社マモル 小中高校生を対象にいじめの小さなサインを見逃さず、未然に防ぐための報告プラットフォーム「マモレポ」を運営。学校に導入し、子どもや保護者が利用している。また学校コンサルティング、いじめ・関連のセミナーの登壇、執筆も行っている。

株式会社マモルホームページhttps://mamor.jp/

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