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大人も子どもも知っておきたい性の多様性・SOGIのこと
芸能人や著名人の中でも、LGBTであることをカミングアウトする人が増え、以前と比べると、LGBTという言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、それぞれの言葉の意味をきちんと知っている方は多くはないのでしょうか。
ここでは、親世代も知らないことが多いLGBTのことを説明します。親世代の大人たちが、LGBTについての知識を身につけることで、子どもからLGBTについて聞かれたとき、子どもがセクシュアリティの悩みを持ったとき、または子どもだけでなく周りの人たちにとって、話を聞いてあげられる存在になるでしょう。
LGBTって何?
LGBTとは、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)の頭文字を並べた略称です。セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の人たちを表す言葉のひとつとして使われています。
さらには、Questioning(クエスチョニング)、Queer(クィア)のQの頭文字を加えて「LGBTQ」という言葉も用いられています。
LGBTの人たちがどれくらいの割合でいるのかは、いくつか調査が行われておりそれぞれで異なりますが「人口の3%~5%程度」といわれています。30〜40人学級にはひとりぐらいいてもおかしくない割合です。
「性的指向」における多様なセクシュアリティ
性的指向とは、恋愛感情や性的関心が「どのような性別の人に向いているのか」ということを表します。
Heterosexual(ヘテロセクシュアル/異性愛者)の人たち
恋愛対象や性的関心の対象として異性を対象とする人
Lesbian(レスビアン/女性の同性愛者)の人たち…
恋愛対象や性的関心の対象として女性を対象とする女性
Gay(ゲイ/男性の同性愛者)の人たち
恋愛対象や性的関心の対象として男性を対象とする男性
Bisexual(バイセクシュアル/両性愛者)の人たち
恋愛対象や性的関心の対象として女性も男性も対象とする人
Asexual(アセクシュアル)の人たち
恋愛対象や性的関心を他社に対して抱かない人
「性自認(ジェンダー・アイデンティティ)」における多様なセクシュアリティ
「性自認」とは、「自分の性をどのように認識しているのか」という内的な感じ方のことを指します。多くの人は、「性自認」と出生時にわりあてられた性別が一致していますが、これらが一致しない人もいます。
Cisgender(シスジェンダー)の人たち
出生時に割り当てられた性別と性自認が一致する人
Transgender(トランスジェンダー/性別越境者)の人たち
出生時に割り当てられた性別とは異なる性自認を持つ、あるいは異なる性別を生きようとする人
また、トランスジェンダーの中には、性自認が必ずしも男性・女性のどちらか一方に限定されないXgender(エックスジェンダー)の人たちが含まれます。
LGBTQの「Q」って何?
Questioning(クエスチョニング)の人たち…性自認や性的指向がはっきり決まっていない人、または決めたくないと思っている人
Queer(クィア)の人たち…もともとは「奇妙な」「オカマ」」という意味で蔑称として使われていたが、セクシュアル・マイノリティの解放運動の中で「オカマでなにが悪い」などと肯定的に使われるように。今では「普通ではない」ことを肯定的に捉える様々な性的少数者が自身をこのように称することがあります。
性は「グラデーション」である
これまでLGBTについて説明してきましたが、LGBTの人とそうでない人とは、はっきりとした境界線がある、と思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、本来は性のあり方は多様なので、境界線がはっきりと分かれているわけではありません。LGBTには当てはまらない人たちのセクシュアリティが、人それぞれによって異なるように、LGBTの人たちも、人それぞれによってセクシュアリティは異なります。性の多様性の象徴である、虹(レインボー)のように、私たちひとりひとりが「性のグラデーション」のひとつなのです。
SOGIという考え方
セクシュアル・マイノリティの総称としてLGBTという言葉が広く浸透してきていますが、「SOGI(ソジまたはソギ)」という言葉が、最近では使われるようになってきました。SOGIとは、Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字を取ったで略称で、「性的指向(Sexual Orientatio)」と「性自認(Gender Identity)」を表しています。
LGBTが、特定のセクシュアル・マイノリティ(性的少数派)を表す略称であるのに対して、SOGIは、異性愛者やシスジェンダー(多数派)も含めたすべての人が持っている属性にフォーカスした略称です。これは黒人差別をなくそうと表現するのか、人種差別をなくそうと表現するのかに少しにていて、LGBTという言葉を使うときには現状の社会ではいないものとされている人たちの存在を強調した表現、SOGIという言葉を使うときには誰もがもっている属性であることを強調した表現となります。
ライティング:山口 和佳奈
監修:遠藤 まめた
専門家(遠藤さん)の一言アドバイス:
様々なニュースでLGBTについて紹介される機会が増えています。学校や職場、地域の中で、これまで気がつかないだけでも身近にLGBTの当事者と出会う機会はあったでしょう。あなたにカミングアウトしていなかっただけでひそかに困りごとを抱えていた人もいたかもしれません。今の子どもたちは大人よりも性の多様性について身近に感じ、好意的に捉えている人が多いと言われます。ニュースやドラマ、漫画などをきっかけにお子さんと多様な性のあり方について話をしてみるのもいいでしょう。
遠藤 まめた
LGBTユースのための居場所にじーず代表
1987年埼玉県生まれ。トランスジェンダー当事者としての自らの体験をきっかけにLGBTの子ども・若者支援に関わる。 著書:『先生と親のためのLGBTガイド 〜もしあなたがカミングアウトされたなら』(合同出版)ほか
LGBTユースのための居場所にじーず https://24zzz.jimdofree.com/
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