児童期 思春期

スマホを小学生・中学生から持たせるときに決めておきたいルールとは?

スマホデビューどうする

今は日常生活には欠かせないツールになったスマホ。その利便性から、子どもにスマホを持たせたいと考えている方も多いのではないでしょうか。一方で不安なのが、長時間のスマホ利用やSNSでのトラブルや事件。子どもが安全にスマホと向き合うために、親としてできるルール作りや心構えについて説明します。

 

小学生・中学生のスマホ所持率は4割に!スマホを持つメリット・デメリット

小学生・中学生のスマホ所持率

モバイル社会研究所の調査※によると、スマホの所有率は全学年上昇し、特に小学生高学年では初めて4割を超えています。2018年の高学年のスマホ所有率は2割未満ですので、この5年で2倍に増えていることがわかります。時代と共に、スマホの必要性やメリットを感じている保護者が増えていることが伺えます。具体的にどんなメリットやデメリットがあるのか、まずは確認してみましょう。

※参考:「小中学生のスマホ所有率上昇 調査開始から初めて小学校高学年で4割を超す」(モバイル社会研究所)、(2024年1月29日)」

スマホを持つメリット

まず、1番のメリットとして、親子で連絡が取りやすくなることがあげられます。通学、習い事、お友達との外出など、親が同伴していない状況で、子どもと電話やSNSで連絡を取り合ったり、GPSで居場所を確認できたりと子どもの状況をすぐに確認できるので安心ですよね。
他にも、日頃からスマホを利用することで、自然にアプリや検索ツールを使いこなせるので、ITリテラシーも高まったり、アートや音楽などアプリを使って想像力を育むこともできます。

スマホを持つデメリット

スマホのデメリットとして顕著なのがSNSをはじめとしたトラブルではないでしょうか。SNSでのやりとりから喧嘩やいじめにつながるケースや、意図せず事件に巻き込まれるケースなど、連日ニュースでも話題に上がっています。
他にも、スマホ依存や、それによる生活習慣の乱れや健康問題なども昨今問題になっています。例えば、小学生であれば本来体を動かして遊ぶ時間や、中学生では試験勉強などの学習の時間に影響が出てしまいます。

小学生・中学生がスマホを使う際の心配事やよくあるトラブルは?

スマホのデメリットについてよくあるトラブルを中心に、具体的に確認していきましょう。

 

スマホの利用時間に関するトラブル

よくお悩みにあがるのが「スマートフォンを使うのを控えようと思っても、控えられない」というもの。本人は控えたい、と思っていても、SNSで友達とのメッセージのやりとりが続いてしまい、なかなか切ることができなかったり、関連動画やおすすめ記事など、レコメンド機能によって、知らず知らずの間に長時間スマホを利用してしまうというお子様もいます。

スマホの利用時間が伸びることで、学習時間や睡眠時間など、小学生や中学生にとって本来必要な時間を確保できないことは、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。

 

SNS・オンラインゲーム上でのトラブル

SNSは無料で始めることができ、友達と簡単に繋がれる身近なツールになりました。一方で、誰とでも繋がれるからこそ、知らない人とコンタクトが取れるという危険性もあります。また、SNSやオンラインゲームは、対面コミュニケーションと違って表情が見えないため、言葉の捉え方にギャップが生まれたり、過激な言葉を使ってしまい、トラブルに発展するリスクもあります。特に小学生や中学生は、情緒的な発達の途中段階であり、欲求や衝動のコントロールが十分にできない子どもも多く、それゆえトラブルは多くなるという側面もあります。

事件に巻き込まれるリスク

スマホで世界中の人と繋がれ、自分ではない誰かに「なりすまし」もできる時代。それを悪用して子どもたちを事件に巻き込む悪質な事件も起こっています

日本財団ジャーナル※によると、小学6年生の女児を装い、小学4年生の女児とゲームアプリのチャット機能を介して交流し、性の悩みを話題にし、わいせつ画像を撮影・送信するよう誘導した事件などが報告されています。

 
※参考:「子どもを狙うSNS被害は年間2,000件前後。サイバー犯罪から守る方法を大学教授に聞く」(日本財団ジャーナル)、(2023年3月6日)」
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/85598/childcare

スマホを通じた被害

小学生・中学生とスマホルールを作る前に!親子で、夫婦で話し合っておきたいこと

スマホを持たせる目的を確認する

まずは、スマホを何のために使うのか、その目的をしっかり確認しましょう。目的が曖昧だと、何がよくて、何はダメなのか、ルールまで曖昧になってしまいます。例えば、習い事の送迎や、通学の目的で使用する場合は、メッセージアプリと電子マネーを使うため、となるので、その他の機能については不要、または禁止というルールも筋が通ります。

子どものプライバシーにどこまで関与するか決める(位置情報、中身のチェックなど)

スマホはメッセージ交換や位置情報など、プライベートな内容も含むツールです。あらかじめ、子供のプライバシーにどの程度関与するのか、夫婦で方針を決めましょう。
すべての情報を監視するのか、一部のみ関与するのか、しっかりと線引きをしておくことがポイントです。その際「内容を確認する」という抽象的なものではなく、「誰とやり取りしているのか」までは確認する、など具体的な範囲を決めておくと、ルール作りもスムーズです。

スマホのルール作りの指針と子育ての方針とを照らし合わせる

スマホのルールは、子育てにおける方針とも密接に関係します。例えば子育てにおいて「自主性を重んじる」という方針を心がけている家庭で、「スマホだけはすべて親の管理下におく」というルールでは方針に齟齬があります。この場合は「どんなアプリを使いたいかは自主的に決めるが、その内容は確認する」など、子育ての方針から大きくズレがないかは事前に確認しておきましょう。

スマホのルールを決めたら、子どもだけでなく保護者もルールを守る

ルールを決めたのに、保護者が一方的にそのルールを破ってしまっては、ルールの効力もなくなりますし、信用も失います。例えば、ルールでは「誰とやりとりしているか報告する」と決めたけれど、どんなやりとりをしているか気になるからといって、追加で確認する、こっそり見る、などはNGです。子どもにルールを守ってもらうために、まずは保護者がルールを守ることを心がけましょう

 

小学生・中学生にスマホを持たせたら、どんなルールがおすすめ?保護者ができること

利用時間帯・利用時間に関するルール

利用時間帯や利用時間に関しては、先に日常生活で欠かせない時間を確保した上で、余剰の時間がいつ、どの程度あるかを明確にしていくことでルールが決めやすくなります。

例えば、帰宅が15時、夕飯が18時、就寝が22時であれば、そこから宿題や習い事の時間を考慮して、「帰宅後1時間と就寝前30分」などと定めることができます。もし自室で使うとルールを破ってしまう懸念があれば、利用時間を「親がリビングにいる時間帯」とするのも1つの方法です。

他にも小学生の場合は、余剰の時間が多くなりがちなので、日が出ている時間は体を動かすことを優先させたり、夕飯後30分、お風呂の後30分など細かく時間を区切るのもおすすめです。中学生の場合は、定期試験2週間前は試験に関連する連絡のみ許可する、など依存させない仕組み作りができるとよいですね。

仕事などで、常に子供の時間を把握できない場合などは、ペアレンタルコントロールの機能を使うのも選択肢の一つです。スクリーンタイムやプライバシーの管理といった機能を活用することで、親の負担も少なくすることができます。

SNS・オンラインゲームに関するルール

SNSやオンラインゲームでは、発信内容が火種になってトラブルになることを避けるため、「普段の対面の会話で使わないような言葉は書き込まない」「不快な言葉遣いがあればすぐに親に相談する」などのルールがおすすめです。他にも、不特定多数と繋がれるツールだからこそ、「知らない人とのコミュニケーションは取らない、または事前に親に確認する」などのルールも重要です。

動画や写真・個人情報に関するルール

よく見聞きするルールに「個人情報は発信しない」というものがあります。しかし、これだと何が個人情報か判断がつきにくいお子様には不十分な場合も。

より具体的に「一方的に送られてきたメッセージには返信しない」「自分や友だちの情報を発信しない」「自分や友達の顔や体は映さない」「位置情報はオフにする」など、個人情報に関して子どもの年齢に合わせたわかりやすいルールがおすすめです。

「顔や体はスタンプで隠すから」と言っても、周囲の建物で遊んでいる場所や活動範囲がわかってしまうこともあるので、写真や動画をアップする際はより注意が必要です。年齢によっては「アップする前に親が内容を確認する」などのルールも有効です。

ルールは随時見直し、振り返りを

一度ルールを決めても、年齢が上がったり、生活リズムの変化や、親子関係、友人関係、行動範囲の変化などにより、今までのルールが通用しない場面や、網羅し切れない部分が出てくることは当然あります。

子供の間で流行っているアプリも日々変わっていくため、もし追加したい場合は、アプリのインストールに関しても話し合う必要が出てきます。

例えば学年が上がるタイミングで見直す、学期ごとに見直す、など子どもの年齢や成長に合わせて随時見直しを行いましょう。他にも、子どもから要望があったときは、その都度話し合うことが大切です。

親子で話し合いの場を持つことは、子どもの悩みや関心ごとに触れる機会にもなる貴重なタイミングです。

子どもの性格によっては自発的に相談がない場合もありますが、そういった場面では、保護者側から「今のルールで十分か?ストレスはないか?」など日常的に話し合いの場が持てるとルールの見直しもスムーズに行えるのではないでしょうか。

 

まとめ

ここまでスマホを持つことでのトラブルや、それを防ぐルールについてお伝えしましたが、ルールやフィルタリングは万能ではありません。意図せず制限をくぐり抜けてしまう子もいるので、「ルールを決めたから大丈夫」ではなく、常に子どもの様子を気にかけ、日頃から見守ることも重要です。

また、トラブルや事件が大きくなってしまう要因の1つに、小さなトラブルがあった時、親に相談できないというケースも散見されます。「怒られるかもしれない」「スマホを没収されるかもしれない」などという不安から、自分だけで解決しようとしてしまうのです。

だからこそ、ルールと同時に、もしルールを破ってしまった場合でも、怒ったり、制裁を加えるのではなく「一緒に解決する方法を探す」という姿勢を常に伝えておきましょう。

日頃からルールについて違和感があれば話し合い、困った時にすぐに相談できる関係性を育むことで、お子様が楽しく、安全にスマホと向き合えるのではないでしょうか。

 
ライティング:三上 ゆき
大阪大学外国語学部を卒業後、㈱LITALICO、㈱リクルートなどで、個人・法人営業を経験。その後フリーランスWEBライターとして活動する側、一般社団法人や認定NPO法人で理事や責任者を兼任している
 

770

       

おすすめ性教育コンテンツ