コロナ禍で子どもたちの生活や勉強にはどのような影響があった?保護者と子のストレス、スマホ依存、授業の遅れなど

 
新型コロナウイルス感染拡大に伴い3月に行われた一斉休校は、経験のない長期の休校となりました。
 
突然始まった長期の休校は子どもたちの生活にもさまざまな影響があり、新型コロナの影響は学校再開後の学校生活にも及んでいるようです。
 
新型コロナと共存しなければいけない生活はまだ続きそうですし、再び感染が拡大した場合には休校になる可能性もあります*。休校になった場合どのような変化が起きるのか、もしまた休校になった場合、どういった対策ができるか見ていきましょう。
 
※本記事制作時(2020年12月1日)時点では、政府は「春先のような全国一斉休業を要請することは考えていない」としています。
 

 

夜型生活になったり、スマホばかりしたり……生活習慣が乱れた子どもは少なくなかった

 
一斉休校が突然始まり、家庭でも学校でも対応に追われていたと思います。保護者の方もお仕事が休めなかったりリモートができなかったり、お子さんが自宅にいる中でリモートワークをしなくてはいけなかったり、仕事は休めたものの家でどう勉強を教えればいいのか悩んだり……色んな事情で、大変でしたよね。
 
学校から宿題は出るものの、通学に比べれば拘束時間は少ないです。ゆえに「生活習慣が乱れ、朝型から夜型になっている」「ゲームやYouTubeばかり見ていて心配」という悩みがたくさん聞こえてきました。保護者としても例え仕事が休みだとしても、毎日お子さんを家でみるのは大変ですよね。リモートワークをしながら子どもの面倒をみるなんて、到底難しい。お子さんに一人でゲームやYouTubeで時間を潰してもらっていたのはやむを得ない部分もあったでしょう。それでも「際限なくゲームやYouTubeをやっているので心配」と考える方もいらっしゃったようです。また、インターネットに触れる時間が多いため、お子さんのネット上での交遊関係を心配したり、オンラインホームルームで勝手にスクリーンショットを撮られたりという声もありました。
 

私立の学校では、メリハリをつけるため、制服を着てオンラインホームルームに参加するというルールを設けていた学校もあったようです。特に何かを行うわけでなくとも、オンラインホームルームで集まることによって、子どもたちもほっとしていた様子が見られたという話もありました。
 
休校中は生活習慣や勉強について、「他の地域ではどうしていますか?」「他の家庭ではどうしていますか?」と気にされている方が多く、「うちだけできていないのでは?」という保護者の方の不安が見えてきました。休校期間中に保護者同士で他愛もない話をするオンラインランチ会を行うなど、ちょっとしたコミュニケーションの場を設けるだけでも、「きちんとできていないのはうちだけではないんだ。仕方がない部分もあるんだ」という実感が得られ、安心に繋がっている様子がうかがえました。
 

ネットに触れる機会が増えることによる危険性

 

 
コロナ前からのことでもありますが、休校をきっかけにお子さんがインターネットを利用することが増えたため、ネット上で知らない大人とやり取りをし、トラブルに巻き込まれないか心配になった方もいらっしゃると思います。現実世界で居心地のいい場所を見つけられないお子さんにとっては、インターネットの交遊が救いになっていることもあり、一概に禁止していいものではないでしょう。ただし、「直接会うこと」「写真を送ること」は絶対にダメだとお子さんと約束しましょう。
 
また大人に持っていただきたい認識が二つあります。一つは「子どもを狙う大人は優しい」ということです。お子さんには「不審者や怪しい人に気を付けよう」と言いがちですが、子どもを狙う大人は警戒されると子どもに近づけないため、一見“良い大人”の顔をしています。
 
もう一つは「男の子だから安心」なんて考えは大間違いです。大人の男性が男の子を狙うことも、大人の女性が男の子を狙うこともあります。おそらく昔から被害自体はあったのでしょうが、最近になって少しずつ男の子が被害に遭っていることも明らかになってきています。「プライベートゾーンはむやみに人に見せるものではない」「プライベートゾーンを触ってきたり、見せてきたりする人がいたら話してね」など大人が伝えていく必要があります。
 
※ プライベートゾーンについてはこちらの記事を参考にしてください。
関連記事:「性教育は身体の大切な場所「プライベートゾーン」を教えることから/意味・イラスト解説
 

勉強の遅れを保護者は心配

 
保護者からは勉強の遅れを心配する声が多々ありました。特に小学1年生においては最初のひらがなを学ぶ時期であったため、基礎力に差がついてしまったのではないかと心配している保護者の方も少なくありません。
 
また授業ができないけれども、習っていない部分の宿題を出さざるを得ない学校もあったようです。自主学習ができない学年の子どもは、自分で宿題を進めるのは難しかったようです。一人で学習できなければ親が一緒にみる必要性も出てきますが、特に共働き家庭ではその点でも非常に大変だったという声が聞こえてきます。
 

学校再開してからも学校生活に変化が

 
学校が再開してからも子どもたちの生活に変化はありました。まず、学校行事が中止になったり、時間や規模が縮小されたりしました。「運動会が短くなった」「保護者が参加できなくなった」などの声が子どもから聞こえてくるようです。
 
また、おじいちゃん・おばあちゃんが同居している家庭では、子どもたちの集まりがあっても参加を控えるという動きがあります。おじいちゃん・おばあちゃんに新型コロナを感染させてしまうことを恐れているためです。
 

ライティング:雪代 すみれ

監修:くま ゆうこ

専門家(くまさん)の一言アドバイス:

宿題については、「完璧」を目指さなくてもいいと私は考えています。ずっとお子さんと一緒にいるだけでも大変なのに、「出された宿題は完璧にしなくては」と考えていると保護者の方のストレスになってしまうのではないでしょうか。習っていない内容を子どもが完璧にやるというのはとてもハードルが高いと思います。完璧にできなくても仕方がない条件下ですので、あまり肩の力を入れすぎないようにしてみてはいかがでしょうか。また、学校側には習っていない内容を宿題で出すのでしたら、プリントの問題を解くような宿題ではなく、動画を見るなどの宿題を検討していってほしいと考えています。
 
もし再び流行が拡大し、万が一、長期的な休校になったら*家族で話し合いをしてルール作りをしましょう。例えば午前中は家族全員で机に向かって集中するとか、お子さんをオンラインで塾に行かせるとか……3月の一斉休校のときはあまりにも突然すぎて何も準備ができなかったと思いますが、一度経験しているので休校したらどのような感じになるかは感覚が掴めていますよね。もしまた長期の休校になってしまった場合には、その経験を活かし、生活習慣の乱れや勉強の遅れを少しでも緩和できるといいのではないでしょうか。子育てについて、まだお母さんが中心となっている家庭が多いとは思いますが、こういった話し合いはお父さんも一緒に参加してくださいね。

株式会社マモル隈さん

くま ゆうこ(隈 有子)

株式会社マモル代表

大学を卒業後、大手音響機器メーカー、携帯ゲーム会社にてモバイルコンテンツ企画、プロモーションなどに従事。 ITベンチャー企業執行役員を経て、 2013年事業開発ディレクターとして独立。サービスを通し多くの中高生や保護者と接点を持つ中で、以前から問題意識のあった 「いじめ」を少しでもなくしたいという思いから株式会社マモルを設立。 自身の強みであるWebマーケティングのノウハウを活かす。 株式会社マモル 小中高校生を対象にいじめの小さなサインを見逃さず、未然に防ぐための報告プラットフォーム「マモレポ」を運営。学校に導入し、子どもや保護者が利用している。また学校コンサルティング、いじめ・関連のセミナーの登壇、執筆も行っている。

株式会社マモルホームページhttps://mamor.jp/

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