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【国際基準の性教育】プレ思春期の子どもに身体について何を教えたらいいの? 前編(思春期の変化・はじめての生理・精通など)

思春期の身体の変化

 
プレ思春期には、大きな変化が起こります。ここでは、もうすぐ思春期を迎える前の子ども(11歳前後ころの子どもたち)が思春期を迎えるために役立つことをお伝えします。
 
※こちらの記事は、毎年世界で約120万人に性教育のプログラムを提供しているアメリカのPPFA(全米家族計画連盟)による記事を、許可を得て、命育にて翻訳・日本向けに医療監修のうえ作成しています。保護者が子どもに性のことを伝える難しさや抵抗感は、世界共通。
国際基準の性教育ですが、保護者や子どもの気持ちに寄り添いつつも「伝えておきたい知識をシンプルに・科学的に」伝えるコツを紹介しています。ぜひご参考ください。
 
※「プレ思春期の子どもに身体について何を教えたらいいの?」 後編はコチラ
 

 

どのようなことに気をつけたらいいの?

 
思春期を迎えることで、プレ思春期の子どもたちは、身体とアイデンティティに大きな変化がもたらされます。この変化によってポジティブな気持ちをもつ子どもたちもいるし、なんだかソワソワしたり、不安な気持ちになったり、他人に警戒心をいだく子どもたちもいます。
 
子どもたちに、いま身体に何がおきているか話すことで、思春期への恐怖を軽くさせたり、これから訪れる変化は、まったくもって普通なことなんだ、と理解したりする手助けになります。思春期を迎える前に、身体の変化について準備させておくことで、何が起こりうるかを推測でき、心配や不安を軽くすることができるのです。
 
思春期は青年期の始まりで、感情の変化がおこる長い期間です。プレ思春期の年代の子どもたちは、もっと自立したいと思うようになります。友達やクラスメイトのようになりたいと、多くの時間を費やすこともあるでしょう。また、自分の個性や自立性を追求するために多くのエネルギーを費やすこともあるかもしれません。
しかし、だからといって親であるあなたの意見や価値観が重要でなくなるわけではありません。保護者自身は、そうは思えないかもしれませんね。しかしアドバイスや助けをあなに求めているのです。
 
保護者のあなた自身が、どのようなボディイメージを持っているのか、理解しましょう。
思春期になると、身体のイメージに対する新たなモヤモヤが生じる可能性があります。子どもたちは自分は成長が早すぎたり、遅すぎたりするのではないかと心配します。「誰もが自分のペースで成長するんだよ」と伝えることで、お子さんを安心させてあげることができます。
 
また、あなたは保護者として、健康的なボディイメージ、つまり身体に対して前向きな姿勢を育むこともできます。ボディイメージについて、あなたにとってもっとも重要なことを考えてみてください。自分のことが好きであることですか?それとも、体力があること?それとも健康的であることでしょうか?
 
自分の考えをお子さんに共有してみましょう。
 
もしかすると、お子さんは、大人っぽい服を着たり、お化粧をしたいと思うようになるかもしれません。ヒゲを剃ったり、制汗剤や香水を身につけたりしたいと思うようになるかもしれません。何歳になったらふさわしいと思うのかは、親であるあなた次第です。
お子さんとよくコミュニケーションをとり、ご自身の価値観を明確にお子さんに伝え、考えを説明し、親がどのような考えでそう言っているのか理解してもらいましょう。ルールを挙げるだけでなく、価値観についての話をすることができれば、子どもたちはもっと耳を傾けてくれます。
 
あなたの行動は言葉と同じくらい重要です。子どもたちの身体のイメージは、あなたが自分の身体について話すことをすべて聞いており、食べ物や運動、健康について学びます。ですから、健康的な身体イメージを持つことに関して、あなたが良いお手本になる方法を考えてみてください。
決して、あなた自身のことを言うときであっても、体に対する否定的な言葉は使わないようにしましょう。「最近、太ってイヤだ」など、お子さんの前でいっていませんか?
 
彼らの人生において、誰の手を借りれるか考えてみてください。異性のことについて説明できない人もいるでしょう。その場合は、信頼できる人を探してみましょう。このような会話は、最初はぎこちなく感じるのが普通です。自分で話をしてみて、お子さんがあなたの知らないことについて助けを必要としている場合は、相談できる人を見つけるのを手伝ってあげましょう。思春期について書かれた子ども向けの本を手渡すこともできます。
 
お子さんがHPVワクチンの接種を検討する時期が今です。HPVワクチンは、子宮頸がん、口腔がん、性器がんなどのHPV(ヒトパピローマウイルス)に関連するがんから人々を守るために3回接種するものです。日本では、小学校6年生~高校1年生の女子は無料で予防接種を受けることができます。このワクチンの接種を検討するにあたり、お子さんと性の会話のきっかけにもなり、将来的にはがんからお子さんを守ります。かかりつけの小児科医に相談するか、地域の産婦人科にHPVワクチンの接種を相談してください。
 
※HPVは一度でも性的接触の経験があればだれでも感染する可能性があります。
※HPVワクチンについての最新情報は、厚労省ホームページからご確認ください。
関連記事:「HPVワクチンは打った方がいい?効果や副反応について学ぼう」

 

娘とどのように思春期について話したらいい?

 
(もしあなたの娘さんが、トランスジェンダーであったり、性別に違和感がある場合には、こちらをご覧になってください)
 
あなたの娘さんに思春期について話すとき、この事実を知っているとよいでしょう。
 
身体が変化します。胸が大きくなることが女の子が思春期を迎えるサインです。乳頭が突出したり、乳頭の周囲に腫れや痛みが生じたりすることがあります。乳房は数年かけて徐々に大きくなります。片方の乳房がもう一方の乳房よりも早く成長することもあります。
 
この頃から、陰毛や脇の下、体毛も生えてきます。身体が成熟していくにつれ腟が体液を分泌し、湿ります。性的な夢や、性的な考え、感情を持ち始めるかもしれません。心に留めておくべき最も重要なことは、人それぞれ異なるペースで成長し、それぞれの身体は異なるということです。そして、違うことが普通です。
 
生理(月経)について。初めての生理(月経)は10歳〜14歳の間に起こることが多く、それを初潮といいます。最初の生理(月経)の数週間から数日前に、お腹のけいれん(痛み)やおりものの増加に気づくこともあれば、気づかないこともあります。
 
娘さんの初めての生理(月経)の前に、準備をしておくのもいいでしょう。どのようにナプキンやタンポンを使うのか教えてあげることもよいでしょう。また、月経カップなど色んな生理用品があることを教えておくのもよいですね。
 
最初はナプキンが一番使いやすいです。ナプキンを買ってきて、一緒にみてみるのもいいかもしれませんね。娘さんは以下について質問してくるかもしれません。
 

・どの種類のナプキンを買ったらいいか
・下着にどのようにナプキンを付けたらいいのか
・どのくらいの時間1つのナプキンを使っていいのか
・使ったナプキンはどのように捨てたらいいのか

 
急に生理(月経)が始まっても心配しなくて済むように、娘さんには学校へ行く時にはナプキンを持たせてあげてください。
 
娘さんが月経周期について学ぶことで、生理に慣れることができます。
 
関連記事:「親子で学びたいはじめての生理」
 

息子とどのように思春期について話したらいい?

 
(もしあなたの息子さんが、トランスジェンダーであったり、性別に違和感がある場合には、こちらをご覧になってください)
 
あなたの息子さんに思春期について話すとき、この事実を知っているとよいでしょう。
 
身体が変化します。思春期の最初の兆候の1つは、精巣が大きくなり始めることです。陰毛も生えてきます。このような思春期の初期徴候は、通常9歳から13歳の間に起こります。
 
その後、息子さんは、男性器(ペニス)が大きくなっていることに気づくでしょう。わきの下や顔、胸などに体毛が出て、声が低くなります。乳暈(にゅううん)現象といって、しばらく大きくなる男の子もいます。これは完全に正常で、ホルモンが調整されれば、通常消失するものです。
 

勃起

 
ホルモンが変化するにつれて、息子さんは勃起することが多くなるでしょう。男の子が性的なことを考えていないときでも、勃起が不規則に起こることはよくあります。これを自然勃起といいます。息子さんは人前で勃起することを心配しているかもしれませんが、勃起が数分しか続かないことと、ジャケットやカバンで隠せば、他の人に気づかれずに済むことを伝えてください。一方で、性的な感覚があるときに勃起することもあります。それも普通です。
父親や、信頼できる大人の男性から話をしてもらえるとスムーズかもしれません。
 

射精

 
最初の射精は自慰行為や寝ている最中に行われることがあります。寝ている最中の射精は夢精と呼ばれます。
 

夢精

 
夢精が起きる前に教えてあげられると理想です。
そしてそれが普通であることも伝えましょう。でないと、息子さんは恥ずかしくて話したくなくなるかもしれません。
 
これについてどう切り出して話せばいいか心配ですか?ここに会話をはじめるヒントが書かれています。
 
関連記事:「夢精・射精・勃起ってなに?」
 

※「プレ思春期の子どもに身体について何を教えたらいいの?」 後編はコチラ
 

 

©Planned parenthood Federation of America(PPFA) /監修 高橋 幸子、翻訳 小杉 真澄(命育編集部)

 
※こちらのコンテンツ(文章、動画など)は、PPFAの許可を得て翻訳・監修のうえ作成しています。無断転載は固く禁じます。内容の紹介はこちらのページをシェアいただくようお願いいたします。
   

Planned Parenthood Federation of America(全米家族計画連盟/PPFA)

 

アメリカで1916年創立された女性の性・生殖に関する医療サービスを提供する非営利組織。全米に600以上の施設をもち、医療者による安全な人工妊娠中絶手術、避妊薬の処方、性病治療といった医療を手ごろな価格で提供している。学術調査や性教育にも力をいれており、学校や地域コミュニティ、オンラインなどにより毎年120万人の人々に性教育プログラムを実施。 International Planned Parenthood Federation(国際家族計画連盟)に加盟。

PPFA HP(https://www.plannedparenthood.org/)

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