思春期

生理中は太る、痩せにくいってホント?生理の周期を知って賢くダイエット

生理の周期を知って賢くダイエット

理想の体型を目指すためにダイエットをはじめても、生理前に思うように体重が減らなかったり食欲に負けてしまったりして、焦りが出る人もいるのではないでしょうか?
 
女性の身体は、ホルモンの影響でむくみや便秘、食欲の増加でどうしても痩せられない時期があります。逆に代謝がよくなりダイエットしやすい時期もあるので、この記事を読んで参考にしてみてくださいね。

とくに体型が気になりはじめる思春期の女の子がいる保護者は、ぜひ思春期のダイエットのポイントとともに、お子さんと「生理とダイエット」についても会話をしてみてください。

監修:産婦人科医 柴田 綾子先生

 
 

 

生理中は「太る」「痩せにくい」のは本当なの?生理周期とダイエット

生理前から生理中は、女性ホルモン「プロゲステロン」の影響で食欲の増加やむくみが出て、ダイエット中なのに体重が増えてしまうことも。しかし生理が終わると、もうひとつの女性ホルモン「エストロゲン」によって代謝が上がり痩せやすい時期に入ります。生理周期にあわせてダイエット計画を立てるのもおすすめです。

生理中:むくみやイライラ…ダイエットはせず休息を「痩せにくい」時期

生理中は貧血になりやすいため、食事を減らしたり激しい運動をしたりするのは避けましょう。意識的に貧血予防ができる食事をとるのもおすすめです。血液のもとになる鉄分、たんぱく質、葉酸、ビタミンB12や、鉄の吸収を助けるビタミンCを多く含む食品を積極的にとりましょう。

 

貧血予防におすすめの食品

栄養素 多く含む食品
レバー、赤肉、赤身の魚(カツオ、マグロなど)、大豆、小松菜、ほうれん草など
たんぱく質 肉類、魚介類、卵、豆類など
葉酸 レバーやほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、納豆など
ビタミンB12 レバー、魚介類、チーズなど
ビタミンC 緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)、果物など

また、生理前からむくみやイライラなどの精神的な症状が出ている方も多いでしょう。これらの症状は女性ホルモンの増減が影響しているため、自分でコントロールすることはできません。生理中はダイエットをお休みして、リラックスして過ごすのがおすすめですよ。

 

軽いストレッチや運動は血流がよくなり体温が上昇します。冷えをとることは、むくみや生理痛の改善につながるので、ぜひ試してみてくださいね。

生理後(排卵前):代謝が高まりやすくダイエットに最適な「痩せやすい」時期

生理後から排卵日までの約1週間は、女性ホルモンの分泌が安定し心身の調子が最もよい時期と言えます。また、生理前から生理中にかけてのむくみが解消されたり、エネルギー代謝がよくなったりして、体重が減りやすい時期とも言えるでしょう。そのため、ダイエットの成果が出やすいこの時期から、運動や食事制限を再開するのがおすすめです。

排卵後:心身ともに安定したダイエット継続OKな「痩せやすい」時期

排卵後の心身は比較的安定しているため、ダイエットは継続して問題ないでしょう。ただし、排卵日の直後からイライラやむくみなどのPMS(月経前症候群)が出る人もいるため、無理は禁物です。

生理前:余分なものを溜めこみやすくなる「痩せにくい」時期

生理前では、多くの女性がPMSに悩まされるようになります。女性ホルモンのひとつ「プロゲステロン」の影響で、イライラ、むくみ、食欲の増加、便秘などの症状が出てしまうため、体重を減らすのが難しくなる人が多いでしょう。
 
この時期はリラックスを心がけ、軽いストレッチや体を冷やさない対策をしてむくみや便秘の対策をしていくのがおすすめです。むくみが気になる人は着圧ソックスなどを使うのもよいでしょう。
 
また、体重が増えてしまっても悲観的にならず「生理前だからしょうがない」「生理が終われば痩せられる」と前向きに考えることも大切です。どうしても食欲が止まらない人は、噛む回数を増やしたりヘルシーなお菓子を食べたりして、食べすぎには注意しましょう。

生理中のダイエットは無理せずに!生理中にできる食事・運動のポイント

生理中はダイエットをお休みするように言われても、何か対策をしたいですよね。ここでは、生理中のダイエットで気をつけてほしいポイントを解説します。

<生理中のダイエット>ポイント① 食事制限は「食べすぎない程度」でOK

生理前から生理中にかけて、太るのがこわかったり体重が減らないと焦ったりして食事量を減らす人もいるかもしれません。しかし、過度な食事制限では体が栄養不足になり、生理中になりやすい貧血のリスクがさらに上がってしまいます。
 
体重は生理が終われば自然と減ることが多いので、生理中の食事制限は食べすぎに気をつける程度にしておきましょう。

<生理中のダイエット>ポイント② 運動は軽い筋トレやリラックスできるものを

軽い筋トレやストレッチ、散歩などは、体が温まり代謝も上がるので生理中のダイエットにおすすめです。このような軽い運動は全身の血流もよくなり、ダイエット効果だけでなく生理痛の緩和にも期待できます。
 
運動をするときは、締め付けの少ない服装でリラックスした状態でおこないましょう。生理中の長距離ランニングや激しい運動は、貧血などの体調不良を招く恐れがあるためおすすめできません。

<生理中のダイエット>ポイント③ 冷えや鉄分不足は意識して対策を

生理中は貧血が原因で疲れやすくなったり、ふらついたりしてしまうことがあります。さらに、冷えや栄養不足は体の代謝を落としてしまい、ダイエットや美容によくない影響をもたらします。
 
冷え対策としては「ぬるめの湯船に10〜15分つかる」「腹巻きをする」「温かい食事や飲み物をとる」ことがおすすめです。また、冒頭にある貧血を予防する食品を積極的に食べて鉄不足を解消しましょう。

生理中に限らず極端なダイエットはNG❕女性の身体に及ぼすリスク・注意点

ダイエットをしている人の中には、メディアに出ている人のようなスリムな体型に憧れている人もいるでしょう。しかし、その人にあった体型には個人差があります。痩せるために極端なダイエットをすると、思わぬリスクに直面することもあるのです。

極端なダイエットのリスク① 痩せにくい身体になる

ダイエットで「食べない」など過度な食事制限をおこなうと、筋肉が落ち代謝が低下します。その結果、摂取したエネルギーを体脂肪としてたくわえてしまい、「食べていないのに痩せられない」という状態を引き起こす可能性もあるのです。

極端なダイエットのリスク② 生理が止まる・生理不順になる

極端なダイエットによって、消費エネルギーが摂取エネルギーより上回ってしまうと、エネルギー不足から生理が止まったり生理不順になったりすることもあります。
 
「生理が来なくなるのは楽だ」と考える人もいるかと思いますが、生理が来なくなると将来妊娠しにくくなってしまったり、骨がもろくなり骨折しやすくなってしまったりするため注意が必要です。
 
とくに思春期の女の子は、極端なダイエット以外にも部活動や習い事でのスポーツで生理が止まったり生理不順になったりすることが多いです。生理が止まってしまうことにより、筋肉などの発育に影響が出たり、スポーツ中に疲労骨折しやすくなったりしてしまいます。
 
3ヶ月以上生理が来ない、あるいは15歳以上になっても一度も生理が来ない場合は病院でみてもらうことをおすすめします。

極端なダイエットのリスク③ 髪や肌につやがなくなる

食事制限をすることにより髪や肌にまで栄養が行き渡らず、つやが無くなってしまうこともあります。また、女性ホルモンの「エストロゲン」は髪や肌にうるおいを与えるため、極端なダイエットによって女性ホルモンが分泌されなくなると、髪や肌がパサつきやすくなる原因となってしまいます。

まとめ

女性の体は、ホルモンによってさまざまな変化が見られます。そのため、ダイエットが思うように進まないことも多いです。ダイエットを頑張りたい人は、自分の生理周期を把握して計画的におこないましょう。
 
また、極端なダイエットはストレスがたまるだけでなく、身体にも悪影響をあたえます。ダイエットをするときは、食事を我慢するのではなく、少しずつ痩せやすい体を目標にしていきましょう。

保護者の方へ:【中高生向け記事】「ダイエットのおやくそく」

お子さんと、体の悩みやダイエットのこと、会話できていますか?「注意してもなかなか伝わらない…。」そんなときは、下記の記事をお子さんに読ませてあげてくださいネ。
中高生向けに「易しく・分かりやすく」伝えているので、子どもが自分で読んで、知ることができます。
 
命育プレミアム会員限定記事:【中高生向け】中学生・高校生女の子へ「ダイエットのおやくそく」

 

監修:産婦人科医 柴田 綾子

医師専門家(柴田先生)の一言アドバイス

ダイエットを始めるときは生理が終わった「卵胞期」がチャンスです。
女性ホルモンの変化によって、食欲が増加したりむくみが強くなったりするので、生理前や
生理中は無理しないようにしましょうね。ダイエットや運動を頑張りすぎると生理不順になったり生理が止まってしまうことがあります。3ヶ月生理が止まってしまうと、女性ホルモンのバランスが崩れていたり、骨粗しょう症になるリスクがあるので、一度産婦人科で相談してください。

柴田 綾子

淀川キリスト教病院 産婦人科医

名古屋大学情報文化学部卒業するも、在学中の世界遺産を中心とした海外旅行をきっかけに「途上国で弱者となりやすい母子をサポートできる技術と知識を学びたい」と、群馬大医学部3年次に編入。沖縄県立中部病院産婦人科コースで初期研修後,淀川キリスト教病院にて勤務。


活動:

女性医療・保健委員会 チームpcog

関西若手医師フェデレーション

LINEボット:『ラッコの妊娠・性相談室』

『妊婦さんの風邪薬ボット』

本:

『女性の救急外来 ただいま診断中』

命育コンテンツ協力:伝え方ナビ、お悩みQ&A


 

ライティング:松本 萌
薬科大学卒業後、ドラッグストアでOTC(市販薬)専門薬剤師、調剤薬局薬剤師を経験。現在は、Webライターとして健康に関する記事を執筆中。

 

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例えば:
おとなの生理とはどう違うの?思春期の生理の特徴とは?
 
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【参考文献】
図2:エストロゲン(E2)によって基礎代謝・糖代謝が上昇
女性ホルモンと糖代謝  
働く女性のための PMSレッスン
第22回 食べないダイエットやめませんか?
女性のスポーツ参加促進事業

 

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