思春期
小学生に伝えたい自分や相手を大切にする知識「プライベートゾーン」「同意」「ジェンダー」「思春期の心と身体」
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INDEX:
- 小学生に伝えたい性の基礎知識
- <プライベートゾーン・同意>自分を守る「プライベートゾーン」の知識と相手を尊重する「同意」
- <ジェンダー>ジェンダーバイアスにとらわれず、自分の「好き」を大切に
- <思春期の身体と心>身体や心の変化が訪れるタイミングは人それぞれ。人の見た目の変化や身体のことをなるべく口にしない
小学生に伝えたい性の基礎知識
<プライベートゾーン・同意>自分を守る「プライベートゾーン」の知識と相手を尊重する「同意」
最近は、幼少期からの性教育や文部科学省の「生命(いのち)の安全教育」などの広がりを受け、少しずつ、自分の身体を守るための大切な知識「プライベートゾーン」のことを教える園や学校、家庭が増えてきました。
「プライベートゾーン」とは、自分の身体で特に大切なところ。
子どもには、胸や性器、お尻といった「水着で隠れるところと口」は、プライベートゾーンといって、自分の大切なところであり、他の人が勝手に触ったり、ジロジロ見たりしてはいけないことを伝えます。男の子の水着はパンツのみのこともありますが、「男の子が胸を見せたくない場合はラッシュガードなどを着るといいよ」と加えます。
誰かにプライベートゾーンを勝手にジロジロ見られたり、触られたりしたときに「イヤだ」と感じるのは、「自分の心や身体を守るセンサーが働いている状態で、とても大切な気持ち」です。このときに、自分を守る3つの方法をご紹介します。
<自分の心・身体を守る3つの方法>
- ・「イヤだ」「ストップ」と言う
- ・(その人から)逃げる、離れる
- ・大人に話す
とはいえ、友達や家族など、相手が知っている人であるほど「イヤだ」とは言いにくいこともあります。
たとえ言えなくても、言えなかった人は悪くないし、自分を責める必要はないということも、合わせて伝えてあげると良いでしょう。
相手の気持ちがわからないときは確認しよう
何を「イヤだ」と感じたり、好きだと思ったりするかは、人によって異なります。相手がどう感じるかわからないときの方法として、おすすめなのが「聞く」ということ。
「手をつないでいい?」「消しゴム使っていい?」など、たとえ物であっても相手に確認することが大切だと言います。「相手に確認し、OKをもらう=同意を取る」ことで、相手を思いやることができます。
もし相手から「イヤだ」と言われたら、やめることも大切。「イヤだ」と言われて傷ついてしまう人もいるかもしれませんが、「その行為について言われただけで、自分を否定されたわけではない」ということを覚えておくよう、伝えてあげるのもよいでしょう。
<ジェンダー>ジェンダーバイアスにとらわれず、自分の「好き」を大切に
性とひとことで言っても、さまざまな性があります。例えば、以下のような性。
- ・身体の性
- ・心の性
- ・好きになる人の性
- ・表現する性
身体の性と心の性は必ずしも同じでないし、好きになる人の性が、同性の人もいれば異性の人もいます。性は、人それぞれ異なります。
・ジェンダーバイアス
「女の子だからピンクが似合うね」「男の子なんだから、転んだくらいで泣かないの」
このような性別に対する固定観念を「ジェンダーバイアス」と言います。「女の子だから、しっかりしているわね」など、ほめ言葉のつもりで口にしていることもあるかもしれません。
ジェンダーバイアスは、子どもたちがまだ小さい頃から周囲の人たちやメディアによって刷り込まれていきます。
大切なのは、性別に捉われず自分が好きだと思うこと、面白いと思うことを追求させてあげること。まずは保護者自身が持つジェンダーバイアスを見直しつつ、子どもたちが、自分がやりたいことや好きなことは「性別によって制限されることはない」と感じ成長できるようサポートしてあげましょう。
<思春期の身体と心>身体や心の変化が訪れるタイミングは人それぞれ。人の見た目の変化や身体のことをなるべく口にしない
- ・人の身体はそれぞれ異なり、一人ひとりが大切
- ・思春期の身体の変化が起こるタイミングやペースは、人によって異なる
- ・困ったときは、大人に相談したり、本で調べたりするといい
- ・人の見た目や身体の変化をからかわない。例えほめ言葉であっても相手はイヤな可能性があるので言わない
自分の身体にこれからどのような変化が起こるかを正しく知っておけば、不安な気持ちを和らげることができるでしょう。
以上は、小学生に伝えたい自分や相手を大切にするために、知っておきたい「プライベートゾーン」「同意」「ジェンダー」「思春期の心と身体」についてでした。
お子さんが自分やお友達のプライベートゾーンを大切にしなかったとき、テレビや動画、マンガなどで、ジェンダーバイアスに捉われたシーンがあったとき、自分や友達の身体の変化に戸惑っていたり、考えごとがあったりしたとき…日常の中で、そうしたきっかけがあったときに、繰り返しこれらのことを話してみてくださいね。
※こちらの記事は、命育×朝日学生新聞社×電通による「生教育プロジェクト」の一環で行われた出張授業のレポート(ライティング:畑奈緒子)をもとに編集部にて再構成しています。出張授業講師:性教育講師・思春期保健相談士 中谷奈央子