思春期

【専門家監修】気になる量やニオイ 思春期(小学生・中学生・高校生)のおりものと上手なおつきあい

子どもが初潮を迎える少し前から出てくる『おりもの』。ニオイが気になる、量が多くて不安、下着が汚れて困るなど、大人の私たちでも悩むことがありますね。まだ慣れないうちはなおさら、不快に感じる子どももいるかもしれません。
 
小学生の子どもは、おりものが何かわからず戸惑ったり悩んだりしていても、保護者に相談できないケースが見られます。中学生、高校生であっても体の悩みは話しづらいと感じています。
 
ベタベタとした感覚やムレ、ニオイに悩まされることもあり、厄介にも思えるおりものですが、細菌から体を守ったり、膣内を健康に保ったりと、女性の健康のための大切な味方。おりものの変化は体調のバロメーターでもあるので、基本的な仕組みは保護者・子ども共に知っておきたいもの。
 
この記事では、思春期の女の子がおりものと上手につきあうためのポイントや保護者ができるサポートについて説明します。

 

 

おりものはいつから?量は?思春期のおりもののはたらきと特徴

おりものとは、体の中で女性ホルモンがつくられるようになると女性の性器から出てくる分泌物です。子宮、膣、汗腺などからの分泌物と古い細胞や汗が混じりあってできています。正常なおりものが出ていれば、膣内を健康に保つ自浄作用がはたらいているということ。他のはたらきを見ても、私たちの体に欠かせない役割があることがわかります。

おりもののはたらき

  • ・古い細胞や老廃物を体の外へと排出する
  • ・デリケートな粘膜が傷つかないよう守る
  • ・おりものの中にあるデーデルライン桿菌(かんきん)と呼ばれる乳酸菌の一種が膣内を酸性に保って細菌の侵入を防ぐ(自浄作用)
  • ・排卵期には量が増え、精子が子宮の中に入りやすくすることで受精を手助けする

 

思春期のおりものの特徴

おりものは、初潮の1年ほど前からはじまる子どもが多く、大人の体に近づいているサイン。この時期には、胸が膨らみ始めたり、陰毛が生えるなど、第二次性徴による体の変化も見られるようになります。
 
おりものの量は生理周期や年齢によっても変わります。
10代の女の子の場合は、初潮がはじまってから少しずつ増えはじめますが、この時期は女性ホルモンの分泌が不安定なので、量が多い日もあれば、少ない日もあり、安定しない時期でもあります。

 

おりものの周期と変化を知ろう

おりものの状態は、毎月の生理周期に合わせて一定のサイクルで色や量、形状が変化しています。
個人差もあり、疲れやストレスで多少ニオイが強くなったり、量が増えたりすることもあります。おりものの異常を発見できると、ホルモンバランスの乱れや病気のサインにいち早く気づくことにつながるため、自分の生理周期に合わせて、普段から観察し、状態を知っておくことはとても大切です。

一般的なおりものの変化の目安

生理直後

  • ・生理直後は、血液と混じった茶色~褐色をしていることが多い
  • ・量は少なく、サラッとした状態
  • ・排卵期に向けて少しずつ増えていく

 

卵胞期~排卵期

  • ・量が最も増え、卵白のような透明で糸を引くようなおりものが数日続く
  • ・ニオイはそこまで強くない
  • ・中間期出血といって、まれに血が混じることもある

 

黄体期

  • ・だんだん量は少なくなり、白く濁った粘り気のある状態に
  • ・下着につくと黄色に見えることも

 

生理前

  • ・再び量が増えはじめる
  • ・白く濁り、下着につくと黄色っぽく見えることも
  • ・においは次第に強くなる傾向に

 

思春期時期の女の子の場合は、まだ生理周期も不安定になりやすいので、おりものの状態もこの通りでないからといって過剰に心配する必要はありません。あくまでも目安として知っておくと良いでしょう。また、変化するものだと子どもが知ることで、状態の変化に戸惑い、病気かもしれないと恐れる必要がないとわかるでしょう。

 

 
 

 

おりものの気になるニオイ、量や色…病院にいく目安は

通常おりものは、少し酸っぱいニオイがありますが、色がいつもと違ったり、ニオイが特に強い場合は、感染症や病気が潜んでいる可能性も。注意したいおりものの状態を知っておきましょう。

 

注意が必要なおりものの状態

  • ・白いかたまりの状態、クリーム状またはカッテージチーズのような状態
  • ・膿のような状態
  • ・黄緑がかっていたり、灰色、緑色のもの
  • ・血液が混じったベージュ、ピンク、茶褐色などの状態が続く
  • ・ニオイが普段よりもきつい
  • ・明らかに量が普段よりも多い
  • ・かゆみや痛みを伴う

 

通常おりものは、少し酸っぱいニオイがありますが、色がいつもと違ったり、ニオイが特に強い場合は、感染症や病気が潜んでいる可能性も。注意したいおりものの状態を知っておきましょう。

個人差があるものなので、まだ慣れないうちは、判断が難しいかもしれませんが「いつもと違う」と感じたら、早めに産婦人科を受診するようにしましょう。子どもの場合は、相談しづらいと感じることもあるので、保護者が普段から寄り添った声かけをしてあげることがとても大切です。

おりものと快適に過ごすためのケア

洗いすぎもNG!洗い方は優しく

おりものは女性の体なら自然と出てくるもの。はじめは慣れず、不快に思ってデリケートゾーンを洗いすぎてしまうこともあるようですが、洗いすぎは逆効果。膣には自浄作用があるため、洗うのは外陰部をぬるま湯でやさしく洗うだけで十分です。アルカリ性の石鹸やボディソープは刺激が強く、雑菌から膣や子宮を守ってくれる常在菌まで死滅し、肌も乾燥してしまいます。自浄作用が弱まると、腟炎を起こしてしまう可能性もあります。

 

ニオイや量が気になる場合は?

おりもののニオイが気になる場合は、ぬるま湯で洗い流したり、下着をこまめに替えるなどして対策しましょう。
また、ベタベタしたおりものが下着についてしまったり、量が多いと感じるときは、おりものシートの活用もおすすめ。使用する場合は、ムレやかぶれを防ぐためにこまめに替えることが大切です。

 

毎日出るものだからこそ、普段から快適に過ごせるよう工夫したいものですね。

 

【医師回答】おりものに関するお悩みの例「おりものがネバネバして気持ち悪く心配です」

おりものについてのお悩みの事例を1つご紹介します。
 
「ときどき、おりものがネバネバしていることがあり、気持ちが悪く、心配になります。お母さんに聞いたら、生理の後はそうなるから大丈夫といわれました。どんなおりものだと心配ないのでしょうか?」(10代からの質問)
 
これに対して産婦人科医は以下のように回答をしています。
 
「正常なおりものはニオイはもほとんど気になりません。おりものは、生理周期によってその性状は変化します。排卵期(生理後2週間程度)には、生卵の白身のような透明な伸びるおりものが分泌されます。排卵後は白っぽく粘り気のあるおりもので、下着につくと黄色っぽくなるものに変わります。この時期を黄体期(排卵~生理まで)といいます。
下着は濃い色より、白やアイボリーなどの薄い色を身につけると、おりものの色や状態がわかりやすくなります。自分の健康管理のためにもおりものをチェックする習慣をつけるといいでしょう。」
(聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田院長/産婦人科医・八田 真理子)

 

子どもからは話してくれない!?保護者にできるサポートとは

思春期と共にはじまることの多い「おりもの」。思春期の子どもは、不快に思いながらも相談しづらいと感じているケースがあります。子どもが知識がないことで不安を抱いたり、ひとりで悩まないためには、保護者から積極的に知識を伝える姿勢が大切です。
 
思春期の女の子の場合、第二次性徴の順番は通常、胸が膨らみ、次に陰毛が生えてきて、生理がくるとされています。胸が膨らみはじめる8歳〜9歳前から、おりものや生理について親子で話していけるといいですね。
 
既におりものがある場合も、保護者から子どもに声をかけ、異常があった場合は病気が潜んでいる可能性もあるので、我慢をせずに話してもらえるよう普段から伝えておきましょう。
小学生の場合、おりものが出はじめたということは、初潮も近いので、生理についての知識も合わせて伝えられるといいでしょう。おりものの話から生理、性のしくみなど性の知識を伝える良いきっかけにもなります。

 

専門家(宮本裕美子さん)の一言アドバイス

おりもの(正式には帯下)は膣の中をいい状態に保つはたらきをしています。
どのようなおりものが正常で心配ないものかをよく知っておきましょう。
正常なおりものは、白~やや黄色で少しネバネバしています。悪いバイ菌から守るために乳酸菌がいるので、やや酸っぱいようなにおいを感じます。
また、月経周期によっても正常は変わります。生理前に量が増えたり、排卵の頃には卵の白身のような性状になります。これらのおりものは心配のないおりものです。
「正常なおりものではないかも…」という時は迷わず婦人科を受診しましょう。
また膣にはさまざまな細菌がいて、このバランスによって良い状態が保たれています。体調やストレスなどもこの細菌のバランスに影響を与えるので、性病でなくてもおりものの変化やかゆみなど不快な症状をもたらすことがあります。バランスの良い食事と規則正しい生活習慣、そしてストレスと上手に付き合うことも膣の健康には重要です。

宮本 裕美子さん

宮本 裕美子

助産師 保健師 思春期保健相談士 日本思春期学会性教育認定講師

婦人科クリニック勤務。院内に併設されたユースクリニックでは、若者の性や健康に関する相談の他、思春期の子どもを持つ保護者の相談にも対応。 幼稚園・学校での性教育講演や、学童保育指導員の研修にも携わる。小学生から高校生まで2男2女の母。

命育コンテンツ協力:伝え方ナビ、お悩みQ&A


 

 

【参照サイト】
MSDマニュアル家庭版「おりもの」  
ガールズばでなびbyワコール「生理の疑問」おりものの量や色がバラバラ、どうして?
ソフィ「生理のケア・アドバイス」おりものって何?
日本産婦人科医会「女性の健康Q&A」おりものについて教えてもらえますか?

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